劇場公開日 2020年11月13日

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「眠くならないフランス映画」シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい! 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5眠くならないフランス映画

2021年1月4日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

知的

難しい

2021年映画館鑑賞4作品目
1月4日チネ・ラヴィータ

フランス映画は一般的に眠くなるという意見が多い
お暇中の凪ちゃんも同様
そんなことを書き込むと日本映画のほうがむしろつまらなくて眠くなるとイキってくるうざい人が必ずといっていいほど登場する
議論するだけ無駄なので無視する方針
本当につまらない映画は腹が立つので眠くならない
眠いのはフランス語が心地良いせいか単なる睡眠不足だ
この映画は面白く巧みで感心させられ眠くなることはない

シラノという舞台作品があるのはだいぶ前から知っている
手塚治虫先生のブラックジャックでシラノが取り上げられた話があるからだ
だいたいどんな話か知っているつもりで臨んだが去年劇場公開されたシラノを観ておけば良かったと後悔している

『新解釈・三國志』は三國志の詳細を知らなくても十分に楽しめ笑えるがこの作品を十二分に楽しむには高い教養が必要になってくる
シラノを観ることはもちろんのことフランスの文化を熟知しフランス語が堪能でフランス人と交流したりフランス語で寝言を言うだけのスキルがあった方が良い
周囲に座っていた高尚な人たちはずっとクスクス笑っていたので知識人にとっては最高クラスのコメディー映画なんだろうなと強く感じた
話の運びが緻密だし上手くまとめてる
DVDなどで何度も観たい作品

実際この作品が誕生する過程は本当にこんなにも突貫工事でしっちゃかめっちゃかだったのだろうか
嘘のようだが本当の話らしい
多少は盛っているかもしれないが根も葉もないデマではあるまい

親子の俳優が登場する
二人とも重要な役
父親の方が微妙にデッサンがズレていて喜劇向きの顔だ
息子の方が口が半開きでまるで『フルメタルジャケット』に出てきたデブにそっくりだ

ベテラン女優が奈落の底に2度落ちるシーンが面白い

娼婦が出てくるので丸出しのオッパイがちょっとだけ登場する
本格的なフレンチカンカンも堪能できる
スケベなおじさんには嬉しいサービス

エドモンには妻子がいるのに「それが」「それが」と迫るヒロイン
教条主義のヤフコメ民とかガルちゃん民なら発狂しそうなシーン

最終幕は何故かほんのひととき野外になってしまう
最終回だけ舞台になった連ドラが以前あったがその逆である

最後はたたみかけるようなキスシーンの嵐
まるで『ニューシネマパラダイス』みたいだ
能年玲奈はキスに対する考え方が重すぎるがフランス人は軽すぎる

エドモンはダリのような変な髭だが当時は最高にオシャレだったのだろう

裁判の判決で作品を発表出来なくなるピンチもそれを無視して強引に始めてしまう反権力の鑑
それにひきかえ日本の左翼ときたら国民の自由を奪えと権力者に懇願する始末
エドモンとその仲間たちの勇気に大感動した

原題は『Edmond』
欧米の映画のタイトルはなぜこんなにも味気がなくつまらないものばかりなんだろうか
これに関してだけはパヨクがなんと抗議しようが日本すげ〜発言を撤回する気は微塵もない
この映画の邦題は素敵だが強いてあげるなら『会いたい』ではなくて『逢いたい』にした方が良かった気がする

野川新栄
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