「1つ1つの決断は大きいのにあっさり感じる」秘密への招待状 KZKさんの映画レビュー(感想・評価)
1つ1つの決断は大きいのにあっさり感じる
M.ウィリアムズ演じるイザベルはインドで孤児院で働く。ある日支援者から直接交渉したいとの事でニューヨークに渡る。
その支援者がJ.ムーア演じる女社長のテレサ。イザベルは1日でも早く話を纏めてインドに戻りたいのだが、ムーアは後回しにしようとしそれ以前に娘の結婚式に招待する。ここでこの作品のタイトルにある秘密への誘いが初めて行われる。観てる方も明確に伝わる。
その結婚式でイザベルはやたらとテレサの旦那のオスカーと気まずさの描写を強く描かれる。
これはオスカーとの間になにかあったなぁ…孤児院で働いてる経緯も考えるとまさか娘の実の母親なのかななんて疑いながら観ていたら案の定その通り。
テレサの娘であり結婚式を挙げたグレイスは血の繋がった娘ではなく、オスカーとイザベルの間に授かった娘であった。彼女が18歳の時に授かり金銭的にも人間的にも育てる事は困難だと判断し孤児院に送る事で2人の間で了承を得ていたのだが、オスカーがイザベルに内緒でその後グレイスを引き取り今に至っていたらしい。
もちろんその勝手な判断にイザベルは怒り、娘のグレイスもイザベルの存在を隠されていた事に怒る。がその辺りはあっさり描かれグレイスとイザベルの関係もスムーズに進む。
そうなると今度はテレサの存在が怪しい。これらを知った上でイザベルを呼んだのか。呼んだのであればなぜ呼んだのか。今後自分の会社を手放す説明などもあった事からまさか寿命が近いのかなと疑って観てたら案の定その展開。
テレサは大病を抱えておりこの先の治療を拒みこのままこの病気で命終わる決断を既にしていた。それらの背景もあって、イザベルを呼びグレイスそしてオスカーとの間に生まれた双子の子供たちの親代わりになってほしいとイザベルに願う。そのため孤児院に多額の基金を寄付する代わりに経営も兼ねてイザベルにはニューヨークに滞在してほしいと交渉にでる。
当初はイザベルはその条件に怒りを覚えたがその描写も濃く描かれることはなく少しした描写ではニューヨークに滞在する決断をする。
そしてテレサは天国に行きこの作品は終わる。イザベルが母親代わりになる決断をしたかは不透明。
予告ではもっとミステリアスな展開を期待していたがその様な感じはなかった。タイトルが秘密への〜なんである限りやはりこちらもそのように構えて観てしまったこともあり殆ど読めた展開で残念感は否めず。
また各々の登場人物たちが特殊な環境に追い込まれ、それぞれが人生のターニングポイントになろうであろう大きな決断を下していくのだが、その決断があっさりと感じてしまう描写ばかりに感じてしまった。
まぁこの作品自体秘密を明かしていくのがメインとなるストーリー展開なんだろうけど、それを主として見るにしては上にも書いた通り読めた展開ばかりで物足りない。
読めてしまい物足りなさは感じてしまうが、同時に想像していている展開に進むのは最低限楽しむ事は一応できる。
今作もキノフィルムズが配給会社となる。
会話劇がメインな展開あたりも全体的に、キノフィルムズらしい作品ではあった。