「ノイズは勘弁 アホなのがバレてしまうじゃないの」カオス・ウォーキング カールⅢ世さんの映画レビュー(感想・評価)
ノイズは勘弁 アホなのがバレてしまうじゃないの
魅力的なキャスト。アクションシーンや先住エイリアンのVFXもワクワク。設定もちょっと凝っていて、テンポが良くて、爽快でした。
ノイズという珍現象の設定が変わっています。だけども、ウザい。解説ではノイズのせいで女性がいなくなった世界とあるので、男たちの妄想、邪念、痴情、劣情に耐えられなくなって自殺する女性が連鎖的に増えて、いなくなってしまったのだろうと、安っぽいアダルトビデオ並みの貧しい想像をしてしまいました。セクハラ、パワハラがいちいち聴こえたら、そりゃ辛いだろうと。「女性ってそんなに弱い?」ってちょっと考えればあり得ないと気が付くんですけどね。
ノイズは立ち上る紫色の煙(Purple Haze)として視覚的にもわかるので、隠れていても見つかってしまうので、始末が悪い。最も始末が悪いのは、男同士。嫉妬深い男同士が一番厄介。収まりがつきませんから、血を見ることになり、むしろ男の方が減るわけです。若い男はノイズをコントロールできない。恥ずかしくて、顔から火が出て死にたくなるよ。かたや、女にはノイズは起こらない。女性が男性に本音を言うことはほとんどないので、ハードルの高さはそんなに変わらない気がしましたが。
また、男しかいない所に若い女性が不時着するのだから、ひとりの女性を巡って殺し合いが起きるんだと、戦争中の無人島の映画(アナタハン島事件)を想起してしまいました。そうです。邪念の塊が日比谷のTOHOシネマズのスクリーンへと導いたのですが、実に面白い映画に遭遇しました。
西暦2257年の新世界は地球ではなかった。緑豊かな大地に馬と共に開墾による地味な暮らしを送っている。まるでプランテーションとか西部劇。馬は冬眠させて、母船に積み込んだらしい。
マッツ・ミケルセンのプレンティス首長は渋くて、カッコいい。唯一自分のノイズを制御できる。残忍で恐怖で男たちを支配する。牧師のアーロンも相当狂ってる。この二人、犬猿の仲のようでいて、不思議と仲違いにはならない。
ファーブランチの女首長はハリエットの主役で、アカデミー主演女優賞のシンシア・エリヴォ。正義の人。こんな未来の宇宙の話なのにアメリカ開拓史や南北戦争とおんなじようないさかい
をする人たち。アメリカ映画だなぁ。
トム・ホランドは26歳と初々しいし、童貞君のトッドを好演。プレンティスにノイズがあれば文字は要らないと文盲のまま支配されて、亡き母の日記が読めない。ヴァイオラが代わりに日記を読んでくれて、隠された秘密がわかる。この人類の遠い未来でも公用語はやっぱ英語なんですか、なんて思ってしまいました。
ヴァイオラのディジー・リドリーは30歳なのにすごく若く見える。金髪のショートボブが眩しいスレンダーガール。右頬の3本の傷がよく似合うワイルドな横顔。かなり絞ったみたい。カモシカのように走る。オレンジ色の革製のタイトな軍用パンツもステキ。バイクのシーンもカッコいい。憧れのスレンダー・ガールがまた増えてしまいました🤩 困ったなぁ。