「【"此処が、私達の世界の中心" 寂れたマルセイユ近郊のリゾート地に集まった二組の"家族"。徐々に自らの信念、生きる道を見出だして行く姿を静かなトーンで描いた社会派作品。】」海辺の家族たち NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【"此処が、私達の世界の中心" 寂れたマルセイユ近郊のリゾート地に集まった二組の"家族"。徐々に自らの信念、生きる道を見出だして行く姿を静かなトーンで描いた社会派作品。】
- 寂れたマルセイユ近郊のリゾート地に嘗て、皆で建てた海辺の家のテラスで倒れた父親を見舞うために、次兄のジョゼフ、長女のアンジェルは久しぶりに集う。迎える家業のレストランを継いだ長兄アルマン。只、彼らの関係性はぎこちない。そして、彼らの家の遥か上を超スピードで走るTGVが、劇中頻繁に写し出される・・。-
◼️感想
・長兄アルマンは、倒れた父親の介護と、寂れ行く町の姿に心痛め。
・大女優になったアンジェルは若き日にこの街で起きてしまった、"心引き裂かれる悲しき出来事"のために出奔し、町に帰るのは20年振り。蟠りを抱えている。
・次兄ジョゼフは、部門長に昇進しながらもリストラされ、元教え子の若き婚約者との関係性も微妙だ。
- 現代フランスの雇用状況が、垣間見得る。-
・親しくしていた夫婦は、自慢の息子が帰って来るも、彼の経済的支援の話を断り、自分達の信念に従った悲しき行動を取る。
- 現代フランスの繁栄から取り残された人々の、介護に頼らずに、自分達の信念を貫く姿。-
・アンジェルに憧れている若き漁師は、地中海に船を出し、アルマン等に魚を提供している。彼は、アンジェルに求愛するが・・。
- この若き漁師の表情がとても良い。自分の仕事に信念を持っているし、常に笑顔を絶やさない。アンジェルが、彼に惹かれて行く姿。-
・そんなある日、長兄等は山腹に潜んでいた難民(幼き三人の女の子と二人の男の子)を見つけて・・。
- 彼らは、子供達の行く末を真剣に考えて、警察に引き渡さない。語られる捕まった難民達の処遇・・-
<現代フランスが、抱える諸問題(繁栄から取り残された人々。難民問題)を盛り込みながら、登場人物達が新しく生きる世界を見つけ、新たな一歩を踏み出す姿が、爽やかだ。又、彼らが難民の子供達の未来を考え、優しく接する姿も不寛容な世界に成りつつある今だからこそ、心に響くのである。
ロベール・ゲディギャン監督の"現代フランスにおいて、難民について語る事なしに映画を作る事は出来ない。"と言う言葉に社会派監督としての、矜持を感じる作品でもある。>
<2021年6月27日 刈谷日劇にて鑑賞>
NOBUさんへ
1週間で12本で完全にペース取り戻したBloodです!ミニシアター系作品の公開時期は、間違いなく、三河より広島の方が遅いですよw
ケン・ローチほど重量感は無かった印象ですが、ジワッと来ました。途中の若い頃のシトロエンでのドライブシーンってCGで作ったんですかね?凄い技術ですよねぇ。何でも出来ちゃいますねw