「スパイ過ぎる女」ANNA アナ えさんの映画レビュー(感想・評価)
スパイ過ぎる女
スパイの訓練を受けた女が次々と任務をこなしていく話。まず結果を見せてからそれに至った理由を後から見せていくストーリーテリング(方式の名前とかあるのかな)は、設定との相性が良いと思った。
また、華麗に完璧に任務をこなすだけではなく普通にヘマをしてしまったり、上司の冷酷さもリアルさが感じられて良かった。
ただし説得力に欠ける描写もある。例えばなぜ彼女がスパイにスカウトされたのか。軍にいた経験があってチェスが得意で、、それのどこが興味深い経歴なのか?
というかなんであれだけの美貌と強気な性格があってあんなDVドラッグ男の一緒にいるのか。
なぜメディアに出てある程度世間からの注目が集まるモデルの仕事を続けても問題ないと判断されてるのか?(実際にカメラマン殴った場面は顔も名前も割れてるし傷害事件になるはずなんだが。)
また男どもが情けなさ過ぎる。スカウト時には強キャラ感のあったアレクセイは次の瞬間から上司に頭の上がらないナヨっとした中間管理職みたいなのに成り下り、
一時は主人公を圧倒する有能感を漂わせるレナードは、瞬時に主人公にメロメロになってしまう。どちらの男も任務よりも性欲が勝ってしまう、絶対に国の重要な仕事には就いて欲しくないヤツらだったのは登場時のカッコ良さも相まって落胆が大きい。
結局はそいつらを手玉に取り任務をこなしていくアナとその道標となる上司のオルガが1番カッコよくて、最後の親子の様な絆で結ばれてる2人の画面越しの会話では、まさかあのオルガから母性を感じるとは思ってもみなかったのでニヤッとしてしまった。アナも自由を得られた様でなにより。
そういえばアナの彼女はなんだったのか?
と、それなりに楽しめたし普通かな〜と思いながらレビューを書いていたが、書いているうちに「あれ、これ確かに男どもはカッコ悪い、主人公とオルガかっこいいし関係性が尊い!、これって監督の思惑通りじゃん。てことはこの映画良い映画じゃん。」と思った。