「既視感…」ANNA アナ farさんの映画レビュー(感想・評価)
既視感…
どうしてもベッソン監督の名作『ニキータ』が脳裏をかすめる。
もちろん細部は違うが、それでも──ろくでもない底辺の生活をしていた女性が国の組織に拾われ、訓練によってヒットマンとして生まれ変わり、殺伐とした世界へ身を投じるが、やがてそんな生活にも嫌気がさして自由を渇望するようになっていく──というアウトラインは、まるっきり同じ。
良く言えば“今の時代に相応しく、洗練された21世紀版『ニキータ』”だが、悪く言えば“『ニキータ』の焼き直し”に過ぎない。
つまり、いずれにしても『ニキータ』の印象が付いてまわり、そこから脱却あるいは昇華できていない。
狂気の中に愛情を置き、愛情の中に狂気を置く、激情入り乱れる演出とストーリー運び──それこそがベッソン作品の真骨頂だと思っているが、今作ではそういった演出は鳴りを潜め、現在と過去を行ったり来たりするサスペンスフルな展開に全振りした感がある。
それ自体は悪いことではないが、少なくとも私が期待したものとは違うものだった。
アクションはテンポが良く、それなりに見応えがあり、悪くなかったように思うだけに残念さが際立つ。
かなり以前から感じていたことだが、ヤキが回ったか、ベッソン…。
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