「【そして、”空っぽの世界”を彼は後にした・・” 現代社会に蔓延る”レイシズム思想”に一石を投じた作品。】」SKIN スキン NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【そして、”空っぽの世界”を彼は後にした・・” 現代社会に蔓延る”レイシズム思想”に一石を投じた作品。】
■地元の映画館で、あまりにも衝撃的な「SKIN 短編」に引き続き、鑑賞。
-お世話になっている映画館での連続上映は嬉しいサプライズだったが、HPにキチンと”短編上映含む”と記載したほうが、絶対に良いですよ・・。
”コロナワールドさん”・・。ー
■という訳で、序盤は、短編の衝撃が残ったまま鑑賞に突入したため、散漫な印象。
ーあれれ、ソリッド感が減少している・・。-
・が、ブライオン(ジェイミー・ベル)が
”KKK”(クー・クラックス・クラン:アメリカの忌むべき白人至上主義者集団:映画で具体的に名前が挙がったのは、近年では「ブラック・クランズマン」以来かな。)や
ネオナチ思想に取りつかれたフレッド(ビル・キャンプ)&シャーリーン(ベラ・ファーミガ:良い女優さんだなあ・・。)の率いるレイシスト組織”ヴィンランダーズ”から、
ある女性ジュリー(ダニエル・マクドナルド:久しぶりだなあ、貫禄は変わらないなあ。)と出会い、その三人娘を守るために、彼の人生をも決める重要な決断をするシーンから、緊迫感が徐々に上がり始める。
・そして、若き日のブライオンを容易に思わせるギャビンが貧困からの脱却を求めて、レイシスト集団に加入していく過程も作品に厚みを持たせるが如く描かれる。
ーブライオンから、何度も”何故、入った・・”と詰問されるシーン。
そして、”あの”シーン。キツイなあ・・。-
・”ワン・ピープル・PJ”を運営する黒人男性ダリルに、夜中に公衆電話から震える指で、自らの今までの過ちを認め、保護を求めるシーンや、フレッドたちが執拗に”戻れ”と迫るシーンなどは、見応えがある。
ーこの時の、ベラ・ファーミガ演じるシャーリーンの複雑な表情は何とも言えない”空虚感”を醸し出している。”空っぽの世界”の住人として・・。ー
<600日を超える”タトゥ除去施術”を乗り越えたブライオンの不安そうにジュリーの家を訪れる時の表情と、ブライオンのきれいな”肌”を見た時のジュリーの表情・・。>
■レイシストが大国を統べる現状では、脈々と続くレイシズムの根絶は、困難極まる事であろう。
けれども、様々な妨害にもめげずに、このような作品を制作し、世に送り出す人々がいることも、又、事実である。
決して、鑑賞後に楽しい気分になれる映画ではないかもしれないが、現代社会においては、貴重な作品であると私は思う。