「本作が真実であるという希望」SKIN スキン 室木雄太さんの映画レビュー(感想・評価)
本作が真実であるという希望
さしずめ令和に観る『アメリカン・ヒストリーX』である。単にレイシスト集団からの脱却を描く物語では無く、個人の抱える葛藤と憤り、苦悩の末導かれる過去との清算、支えとなる家族への愛情、異なる人種との会話、蔓延る悪業から剥離させる時間を、痛みを伴いながら綴る。嘗てを焼き尽くすには己の肌を焼く覚悟と犠牲を厭わなくてはならず、深い哀しみを伴う二人三脚を、ヘイトクライムの矛先であった黒人が担う点が、物語の核心に信憑性があり、希望へと昇華する。蔑みや好奇な眼差しを受け止め生き直す、この男の勇気を胸に抱き、社会を見つめ進みたいと思った。
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