ハニーランド 永遠の谷のレビュー・感想・評価
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自然とsynchronizeする彼女の生き方
養蜂を営むなかで自然からの恵みをいただく北マケドニアのひとりの女性。出来上がった蜂蜜を決して独り占めすることなく、蜂や自然と共存する姿がとても印象的だ。
そこに突然、村やってきたトルコ人一家。彼女やその周辺にとってnoiseでしかない。大量の家畜を放ち、教わった養蜂でも出来上がったものを全て搾取し売り払おうとする姿は、自然界に飛び込んできた「文明」を表現している。
女性の生活どころか、周辺の自然を破壊していく様は、残念ながら私たちの生活する姿そのもの。
徹底した生産性向上、効率化の近代化された社会の縮図に他ならない。
では彼女のような生活ができるかと問われれば、自分含め誰もできる話ではない。
人との設定がほとんど隣の家族(彼女にとっての「好まざる来訪者」)しかないので、彼女と社会の接点が見当たらない。自由を享受するというのは、こういう状況のことなのかもしれない。
厳しい自然環境のなかでの「自由」をとるか、制約された不自由ななかで自動化された「快適」環境を享受するか。
ときおり空中を飛ぶ戦闘機の姿が印象に残っている。
生きることは過酷
北マケドニアでの養蜂家の生活を撮ったドキュメンタリー映画。
半分は自分に半分は蜂に、持続可能な生活を送っている。今日本の政府が言ってる流行りのSDGsを何年も前から実践してる。
病気はしないのか?口元のアップで気になった歯槽膿漏を治療しないと、などどうしてるんだろうと思えることも有るけど、もしも病気になって、自己免疫力で治せない時は死ぬ時なんだろう。
自分の今現在の環境に感謝する気になれる作品でした。
あの女性は今どうしているのだろうか
彼女は蜂にも人にも優しい。しかし、そんな彼女も年老いた母親の世話をするときは、イライラが出てしまって、厳しい。目も耳も不自由で、寝たきりの母と二人きり。こんな自然豊かなところでも、都会の砂漠でも、介護のつらさは一緒なんだなぁと。暗い洞窟のような石を積み上げた山の家は小さな明かり取りがあるだけで、虫の羽音が常に聞こえる。蜂かと思っていたら、ハエのようだ。衛生状態も良くない。首都の町の市場で天然の無添加蜂蜜を売り、そのお金で、毛染めクリームを買った時に、扇子をおまけでもらった時の嬉しそうな笑顔が忘れられない。もともと、母親のためにハエ避け目的で買おうとしたものだ。まず、母親の毛を染めてあげる。次に自分。寝たきりの母親に手伝ってよと話しかける。無理だよ、と母親が返す。そんな暮らしであるが、母親との朴訥な会話のやり取りを聞いていると、彼女の置かれている現状が身にしみて来て、心配で辛くなる。二人きりの親子の最後は突然やって来たかのようだが、実際はだんだん弱って行く母親を世話をしながら、ひとり取り残される寂しさと闘いながらである。
トルコ人の家族と一緒に聴いたトランジスタラジオをつけて、「お母さん聴こえる?」って家の外から言っても、返事がない。夜、明かり取りの窓から漏れる蝋燭の光と嗚咽。とうとう、ひとりになってしまった。それでもまた、彼女は切り立った崖に登り、蜂蜜を取りに行く。
キャンピングカーで越してきた牛の放牧を生業とするトルコ人の家族の子供に接する彼女も優しかった。養蜂を彼女から教わり、良く理解して、師匠と弟子のようについてきた子もいなくなってしまった。「あんたみたいな息子がいたらね」という彼女には諦めの表情もとくに浮かぶ訳でもない。静かで、聡明な彼女は今どうしているのだろうか。
廃村で大自然と共生する人々が織りなす剥き出しのドラマに胸が締めつけられます
電気も水道もない北マケドニアの廃村に年老いた母と暮らすハティツェ。養蜂を生業とする彼女はハチと共生するため巣から蜂蜜を半分しか取らないと決め、僅かな蜂蜜を首都スコピエの市場で売って生計を立てていた。そんな廃村に沢山の牛を引き連れて突然現れたトルコ人の一家が引っ越してくる。しばらくは親切に身の回りの世話を焼くハティツェだったが、絶妙なバランスの上に成り立っていたはずの二人の生活が少しずつ崩れ始める。
一切のナレーションを排して廃村に暮らす人々にぴったりと寄り添うカメラが映し出すのは美しい大自然とその中で暮らす人間の清貧、無邪気さ、逞しさ、そして剥き出しの感情。ここまで赤裸々な人間模様を一切の演出なしに引き出すに至る人間関係を構築するだけでも途方もない時間がかかったことでしょう。自然と共生することの崇高さを丁寧に掬い上げたカメラは今度は一転して人間の欲望が破壊する自然の儚さを切なく見つめる、90分に満たない短い尺に封じ込められた3年間のドラマはずっしりと重く、胸を締めつけられました。
今年のオスカーで長編ドキュメンタリー賞と国際映画賞に同時にノミネートされたのも納得の圧倒的な存在感を持つ作品です。
なぜ、蜂に刺されないんだろう?
ずっと不思議でした。途中刺された人もいたけど。
主人公は強いですね!
夫婦げんかは呆れました。
一席空きのシートにぬいぐるみが置いてありました(^_^)
いいドキュメンタリーでした。
典型的な欧州伝統ドキュメンタリー映画
劇映画のようにコテコテに作り込まれた、いわゆる伝統的なヨーロッパのドキュメンタリー映画といった作品。
個人的にはかなり苦手な部類と認識しつつも、質の高さと劇的な展開に魅せられた。
そのあまりに洗練された映像や音楽に疑わしい眼差しを投げかけてしまうのだが、それはあくまで個人的なうがった見方。核心的な真実はついているとは感じるので、素直にカッケーなどと思ってしまった、感情的に揺さぶられることはなかったけれど─。
ただ、非常に優れた作品であることは間違いないと個人的には思う。
内容全てウソ偽りないものだとすると、それはそれで問題があるような気がするけれど…
自然と人間との見えない協定と調和
北マケドニアの小さな村で、自然で巣を作るミツバチから半分蜜を採取して暮らす女性が、トルコ人一家が近所に住み着いたことで、生活様式が激変していく。
ミツバチとの共存共栄の方法を知り尽くしている彼女と、とにかく養蜂用の箱を大量に自作して蜜を採取しようとする一家の、お伽話のような分かりやすい対比。
そこにあるには、自然と人間との、見えない協定と調和だ。
ただ、中盤以降の一家の父親とハチミツの売買を交わす行商人とのやり取りに難アリ。
会話内容やカメラアングルやカット割りに、作為的、ハッキリ言えば「やらせ」っぽい演出を感じてしまった。アカデミー賞2部門にノミネートされるも両方とも逸したのは、そのあたりが原因だったのかなと邪推。
頑張っても生まれた土地で決まる人生がある
頑張って、心優しく、親も大切にしているのに、生活はとても苦しく。
恐らく裕福になることを求めているわけではないと思いますが、普通の生活ができるようになるにはどうしたらいいか、おそらく、あの土地では無理なんでしょう。
電気が通じれば幸せではないし、ご飯が買えれば幸せなわけでもないけど、お母さんはお金があっても元気にならないだろうし、どうしようもないことを映画を見ながら悲しくなります。
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