「ドクターデスとは、」ドクター・デスの遺産 BLACK FILE cenrivさんの映画レビュー(感想・評価)
ドクターデスとは、
終末期患者を安楽死させる、医者。
ある日とある子どもから、お父さんが殺されたという電話が警察にかかってきた。いたずらだと思いつつ念のため調べたところ、お父さんを診ているいつものかかりつけの医師とは違う医師が自宅を訪れておりその後すぐに死亡が確認されていた。
火葬される遺体を無理矢理、司法解剖し毒物が検出されたことから医師を装った謎の人物を探し出すことに。
そして人には生きる権利も死ぬ権利もあると謳うドクターデスのホームページにたどりつく。
そこからこれまでの余罪も多く見つかる。
ドクターデスに依頼をしたであろう家族たちにドクターデスの特徴を聞き込みするが、みな、ドクターデスをかばい、なかなか捜査がすすまない。
家族たちも末期患者の看病をする疲労や、痛みに苦しむ身内の姿を見て、楽にしてあげたいという気持ちも強く、その願いを叶えてくれたドクターデスに感謝の気持ちもあったのだ。
この、患者本人や家族たちが望む安楽死、という重いテーマをどう解決していくのか。
劇中、警察側の高千穂(北川景子)が言っていたが誰も被害者がいない、と。
たしかにそうだよな、と思いつつ、どうエンディングにもっていくのかと思っていたら。
犬養(綾野剛)の娘が腎臓を患っていて、小児病棟に入院しているのだか、犯人はそれを利用する。
娘に近づいた犯人は、お父さんはあなたがいることで、困っている、大好きなお父さんを困らせるのをやめてあげるためにも楽になったら?と誘導?洗脳?して、娘は自らドクターデスに安楽死の依頼をしてしまう。
そこからお父さん(綾野剛)の娘救出劇なのたが。
こんなふうに誘導して殺しているなら、たしかに殺人を楽しんでいるだけかもしれない、犬養への復讐のために娘を利用するなんてと、裁かれるべきひとなんだ、と見てる側は思うことができたかもしれないけど、もう少し犯人はクレバーで、法律としては裁かれるべきなんだけど、安楽死とはなんなんだろうということを観客は考えさせられる、みたいな展開を予想してました。
結局犯人はただのサイコパス。
犯人のひとりも河原でなぜかあっさり捕まるし、もうひとりも張ってた刑事をなぜかあっさりまいて逃げちゃうしもう少し理由がほしかった。
そして捕まえてほしいのか欲しくないのか、娘殺しちゃうよーのくだりも長い。結局娘ちゃん無傷。
娘ちゃんもお父さんに助けを求めるの遅いよー。
映画ではなくドラマスペシャルくらいがよかったのかもしれない。
それにしても木村佳乃と柄本明の犯人コンビの演技はすごい。柄本明はこないだまで半沢で官僚の役やってたのに今回はホームレス。そして違和感なし。幅がひろい。