はちどり(2018)のレビュー・感想・評価
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私も主人公と同じ病気で手術した経験があります。
映画評論家の町山智浩さんが、TBSラジオで推していたので、奥さんと観に行きました。コロナ禍の影響で観客は7人/84席。20年以上前の韓国の普通の家族の日常がえがかれていますが、この時代の中高生たちが、今の韓国の30代~40代なのですね。
主人公のウニが「右耳の後ろにシコリが出来て気になって診察を受ける」場面でビックリ。「右耳の後の辺りのシコリ」という時に「もしかしたら」と思いましたが、やはり私と同じ病気でした。
日本語の病名では多形腺腫(良性唾液腺腫瘍)。医師からは「放置すると癌になり、最悪、下顎を全部摘出することになる」といわれました。手術の後遺症の説明も映画の場面と同じで、神経を切断してしまうことになると顔の半分が緩んで垂れ下がり、発音も呂律が回らなくなるかもしれない」と言われて手術を躊躇った期間がありましたが、結局やってみました。映画と同じ1週間の入院。私は専門医のいる口腔外科医のいる大学病院でしたので、幸い、「見た目」と「発音」の後遺症は有りませんでしたが、唾液腺の一部が切断されてしまったので、咀嚼すると唾液が、右耳の裏から顔面に出てしまうので、食事中は、何度もハンケチで拭います。
私(71才)は60才を過ぎてからの発症なので「若い人は罹らない」と思っていたのでそれが驚きでした。当作品の本質とは外れていますが、「主人公が同じ珍しい病気だった」ということで書き込まずにはいられませんでした。
評判どおりの傑作
中2の女子の日々を淡々と描いた映画。大きな事件が起きるわけではなく、少女の成長過程にずっと寄り添います。ただ少女の日常を描いただけなのに、なんでこんなに感動するのかわかりませんが、映画を観終わったときには謎の涙が出てました。
まず、役者が素晴らしいと思いました。
塾の先生、友達、後輩のたたずまいが非常にリアルで、先生が事故に巻き込まれてしまったときは本当に亡くなってしまったようで泣いてしまいました。
個人的に一番ぐっとくる登場人物はウニのことを好きな後輩で、顔も中学生っぽくて非常にリアルだし、「先輩を好きだったのは前の学期のことです」という衝撃のひとことは、この時期は学期が違えば別人のように成長してしまうということが表現されていて最高です。
また、カメラワークもよくて、主人公の後ろから追うシーンや顔のアップが多用されて、いつのまにか物語の世界に入り込んでしまいました。
監督はこれがデビュー作らしいですが、デビュー作とは思えないくらい洗練されててめちゃくちゃ面白かったです。
心のひだに寄り添う様な作品です。
映画好きに密かに話題の作品で都内では渋谷の「ユーロスペース」のみの上映と謂うなかなか観賞するにはタイトな感じで、コロナ対策で入場制限もされていて、予約も取り難かったんですが、なんとか観賞しました。
で、感想はと言うと、とても繊細でキラキラとした感じで心のひだに寄り添う様な作品です。
今から約25年前の韓国を舞台に主人公のウニの多感な年頃と当時の韓国の情勢を踏まえた作品で、日本と違う文化にいろいろと驚き。
学歴が重要視されるのは日本でも変わらないけど、ここまで極端では無い。
頭脳明晰な感じではあるが実はそうでもないw、兄に強いたげられ、いろいろと我慢もするが、ウニの心の中は鬱屈といろんな不満が積もっていく。
多感な年頃であるが、割りとヤンチャw
彼氏もいるし、悪い事を一緒にする悪友もいる。
自分を好いてくれる後輩もいる。
でも、皆自分勝手。
ウニ自身も勝手なんだけど、だからこそ余計に周りにイライラする。
「目は口ほどに物を言う」と言う言葉があるけど、まさしくソレ。
目がクリッと大きいウニの不満さ加減がもの凄く伝わってくる。
そんな時に新しく着任した塾のヨンジ先生の振る舞いや行動が気になり、またヨンジ先生もウニを気にかける。
とにかくウニの世界と周りで起こる出来事がなんとなく気になる。
多感な年頃と言う言葉だけ片付けられないぐらいに、ウニに目に映る身の回りの世界が新鮮かつ何処か淀んでいて、何処かそわそわしている。
問題だって、大したことが起こる訳ではない。
普通の日常を切り取った断片的な物ばかり。
でも、大きい小さいに関わらず、悲劇はいつも突然にやってくる。
大きなネタバレになるので、あえて書かないけど、それにどう対処するか。
そんなウニのいろんな思う事や日常の出来事がホント普通の事でたぶん自分にも同じ事があった筈。
でも、思い出せないくらいに普通の事なんですよね。
ウニを演じるパク・ジフの飾らない微笑ましい♪
また、なんとなくイライラしていて、時折感情を爆発させる表情が可愛らしいw
大人になったら美人さんになるであろうけど、その時に今の魅力が失われないかと言えば、たぶん失われている気がする。素に近い多感な年頃をさりげなく醸し出す雰囲気がある程度歳を重ねるとキラキラと眩しいんですよねw
ヨンジ先生の飾らない大人っぽさも良い♪
ウニの彼氏のイモダサイ感じもウニと釣り合いが取れてない感じでなんか素敵w
友達とのいざこざも親や分かってくれなさも塾の先生の雑さも皆イライラする。
そんな時でも神様はあんまり優しくない。
好きな先生との別れは急にあるし、韓国社会の情勢や事故は突然やってくる。全部が理不尽。
でも青春の1ページみたいな感じに映って、観る側になんか静かに訴えかけてくるんですよね。
そんなウニが魅力的な作品です。
都内では渋谷しかやってないのが残念だけど、多分これから全国でも上映されていくと思うので、機会があれば是非。
女性には共感多数。男性(特にオジサン)には眩し過ぎて困っちゃう感じかと思いますw
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