劇場公開日 2020年6月20日

  • 予告編を見る

「気付いていく姿を見守る」はちどり(2018) つとみさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 気付いていく姿を見守る

2025年8月2日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

この映画はフェミニズム系のカテゴリに分類される作品で間違いないだろう。
その中に普遍的な思春期の成長も含む。
劇的な何かは存在しないけれど、些細で繊細な気付きと変化が魅力的な作品だ。

同じフェミニズム系作品と本作が一線を画すところとして、直接的な問題提起や解決策を論じていないところをあげたい。
具体的に言うと、主人公ウニが物語の中で「気付いていく」たけの作品なのだ。

普通に生活していく中で、何かおかしくないか?とか、違和感があるぞということに気付いていく。
当たり前のルールのようにされているが、何故だ?。当たり前なのが普通か?、と気付いていく。
その気付きは観ている私たちにも伝染する。なんか不自然だなあと。

物語は違和感への気付きだけで終わってしまう。普通であれば何もない退屈な作品になりそうである。ある意味で物語が始まっただけで終わってしまうとも言えるわけだから。
しかし、主人公ウニが気付いていく姿を見ることは、作品の終わりが少々悲しいものだとしても、明るい何かを感じ取ることができ、それは逆に、この先の物語はもう充分に理解できるとも言える。

ウニはまだ子どもだ。もう年寄りに近い私のような者からみると、子どもの成長や頑張る姿は不思議と魅力的に写るものだ。
そんな、子どもの成長を見守る大人目線だったからかもしれないが、面白く観ることができた。
韓国映画なのに作中で喚かなかったのもいい。

つとみ