「タイトルなし」はちどり(2018) ワイルドとみまるさんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルなし
キム・ボラ監督、彼女の長編デビュー作品。作品が醸し出すうっすらした雰囲気、
多くを語ること無くこちらの想像力に
任せてくれるような余白の取り方、
それでいてしっかりとした密度で訴えてくる、静かに心に沁みるとても素敵な作品でした。
多分、誰もが経験したことのある
10代前半の不安定だけれども、
目に映るもの全てを全身で受け止めることの出来る柔らかな感受性を持ち合わせた時期。
そんな思春期の少女ウニ、ウニと家族、
親友、女性教師との関わりと1990年代の韓国社会をも作品の中に投影してゆく。
少女ウニの透明感、
ウニを優しく見守る、
空気のような存在のヨンジ先生
二人のやりとりを
観ているだけで心が安らぐ
ヨンジ先生の煎れるお茶は
何故だか落ち着く
家父長制の強い韓国社会のなかで
父と兄がある時見せる表情や感情は、
彼らを支配しているものから
一瞬だけでも解放されたのかもしれない
作品を観てから1週間しか経たないけど
ウニとヨンジ先生にまた会いたくなって
しまった。
なので今日、もう一度会いに行きます。
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