「レイト70’sに蔓延する人種差別に音楽で抗う運動のうねりが圧巻」白い暴動 よねさんの映画レビュー(感想・評価)
レイト70’sに蔓延する人種差別に音楽で抗う運動のうねりが圧巻
1970年代後半の英国。経済破綻に見舞われ国民の間に溜まったフラストレーションは戦後増加の一途を辿っていた移民達に向けられ、国内では排外主義を標榜する国民戦線が台頭、公然と人種差別が広まっていた。そんな風潮に反旗を翻したのが若いアーティスト達が組織した『ロック・アゲインスト・レイシズム』。音楽で人種差別に対抗しようとする地道な運動は少しずつ若者の間に浸透し大きなムーブメントになっていく。
この作品の背景にある風潮は『ボヘミアン・ラプソディ』や『カセットテープ・ダイアリーズ』といった作品との背景と繋がっていて、そんな不寛容にNOを突きつけるロック、パンク、レゲエが大きなうねりにとなっていく様を当事者達が語る言葉の一つ一つがずっしりと重く、クライマックスのライブ映像が捉えた熱狂に胸が熱くなりました。当時の実情を捉えた非常に貴重な資料であると同時に、社会不安が蔓延しこのような差別主義が未だ払拭出来ないどころか世界中に広がるばかりの現在において、特に若い世代に観てもらいたい力作です。
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