劇場公開日 2020年7月3日

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「キャスティングが・・・」MOTHER マザー ちょい電脳オヤジさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0キャスティングが・・・

2020年7月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

男に寄りかかり、すがり、育児を含めた生活能力に著しく欠ける女。ただ目先の空腹と快楽のための金さえあれば良しとする、およそ人間社会の文化からは程遠い底辺をさまよう女。そして、そんな女でも唯一の拠り所として生きなければならない悲しい息子。映画自体のテーマは、本当に深く淀んだ問題に取り組んでいると思うが・・・。この作品に長澤まさみはミスキャストだと思う。本人も意欲をもって体当たりの演技をしているし、実際に確かな演技力を持っていると思うけど、いかんせん奇麗すぎる。落ちぶれ感が全くない。あれだけ好感度の高い女優を使っては、この作品が伝えたい闇の部分は伝わらないと思う。レビューでも多くの方が「長澤まさみの演技力はすごい!」と書き込んでいるが、裏を返せば「演技でやっている」という感想に直結している。作品に入り込んで「とんでもなくひどい母親だ・・・」という憤りとか悲しみに到達できないままだ。例えばこれが、母親役が安藤サクラで、男役がリリーフランキー(万引き家族の組み合わせだが)だったら、全く違った作品になったのではないかと思う。
作品のコンセプトは素晴らしいと思うので、つくづくキャスティングが残念だった。
ちなみに私は長澤まさみさんの大ファンですので、彼女の名誉のためにも「あれ以上の演技は無理でしょ」と言いたい。

ちょい電脳オヤジ