「原作ファンが満足って本当?」弱虫ペダル kmさんの映画レビュー(感想・評価)
原作ファンが満足って本当?
原作知らない方&俳優のファンの方が、あのケイデンスで坂道を登る永瀬廉さんの姿を見てカッコイイ!と思うのはよく分かるのですが、原作ファンでよかったという感想が不可解です。
登場人物の個性や背景を理解しないままにストーリーを改変した結果、弱虫ペダルとは別物の映画に仕上がっています。
寒咲さんを父にすることで、3年生との先輩後輩の絆はなくなりました。
坂道のママチャリが改造されていたエピソードがなくなり、なぜ坂道がバケモノになったか説得力がなくなりました。
坂道のアニ研への思い入れが薄すぎて、唐突に「試してみたいんだ!」と自転車競技部に入部。
1年生ウェルカムレースをスタートさせながら、「お前は走れない!」と坂道だけ走らせない金城の不可解。(クロモリが届くまで待てとかの指示なし。)
なのになぜか、坂道がビンディングシューズを履きギアを使いこなしている不可解。
今泉のトラウマは、御堂筋の策略によっての敗北ではなく、そこら辺の中学生に実力で負けたことによる。
合宿は一体何をやったの?(巻島&坂道だけ別の場所?)
お風呂の描写必要でしたか?合宿での練習を掘り下げて欲しかったなぁ。強くなった説得力が欲しかったです。
坂道が巻島にあれだけ積極的にグイグイいける子なら、友達100人出来たんじゃないかなぁ。
巻島が巻島じゃなかったです。優しくて不器用な巻島が、ただのニヒルな先輩になっていました。もちろんピークスパイダーでもなかったです。
県予選ごときで苦戦。これでは箱学のライバルになり得ない。
田所はなぜ1人で飛び出したの?スプリントリザルトを取った描写はなし。最初から逃げ切り狙いなら、最低でも坂道連れて2人で飛び出すのでは?田所こそが無駄死に。
鳴子に「チームのために死ね」という金城。チーム総北は支え合うチームじゃなかったのかな。金城は必要であればエース自らチームを引く男のはずなのに。「50キロ引け!それがお前の、お前にしか出来ない役割だ!」ならわかります。死ねはない。
寒咲幹が坂道を呼び捨てにしたり抜きなさいと命令したり。
100人抜けは、合宿で切磋琢磨した手嶋が言うからこそ意味のあるセリフ。誰が言ってもいいというものではないです。
県予選の協調で囲まれただけで抜け出せない程度の実力の巻島と金城。
落車した坂道が3分で追いつけばなぜ活路が開けるのか、全く理解できなかったです。金城(巻島)の戦略、彼らが想定したレース展開はどんなだったのか、誰かに解説して欲しいです。1番意味が分からなかったのはここでした。
坂道と今泉があっさり抜け出す。なぜ3年は抜け出せない?3年は坂道達が抜け出すためのアシストをした訳でもなくて、そこに無策にいるだけでした。無能としか言いようがない。
ライバル校の厄介なエースは何が厄介だったのですか?
今泉の説得力のない勝利。
巻島対東堂の対決の「勝者は空を仰ぎ見…」は、クライマーの対決、空に最も近い場所での勝負にこそ相応しい解説。平地での勝負に使うべきじゃないと思います。
景色は綺麗だし、スピード感はありました。
実際にあのケイデンスで回し続けるのは凄いし流石だと思いました。
1年生レースとか、合宿でのT2との勝負とかをクライマックスにしたらよかったんじゃないかなぁと。
脚本に無理があり過ぎたんだと思います。