夜明けを信じて。のレビュー・感想・評価

最後の後ろ姿で、救世主の人生だったことがわかった。
こういう人が信用できる人だと思う。

これからの時代に観ておく必要がある映画だと思う。

一条悟が宗教家として立つまでの回顧録。母、友人、同僚、上司、寮母、ヒロインと様々な視点から主人公の生き様が描かれる。

恐らく主役は、無名で実績もない役者だろうが、直向きに、誠実に向き合った軌跡が見られ、映画全体の雰囲気を高めている。登場人物は多いが、全体的に丁寧なつくりで、安定感がある。

モノローグの多用とCG技術、映画のトーンと合わないインサートカットは気になるものの、多用されるフォークソングは時代性もあってか馴染んでいた。劇伴も幅の広さが見られる。

他の演者の演技も自然で、感情の機微も上手く描けている。ラストのヒロインの涙は、日本映画の中でも秀逸だろう。

宗教家になるという現象にフォーカスせず、主人公の内面や人柄を複数人の視点から描くことにより、胡散臭い宗教映画を回避している。こういう映画が布教されるなら理解者もふえるだろう。

主人公の生きざまに涙した。千限美子は、あいかわらず、かわいい。続編も期待したいな。

とかく宗教と言うと毛嫌いする国民であるが、アメリカに25年以上住んでいたものとしては、なんとも恥ずかしいことである。この映画も宗教団体が作った映画として、偏見で見られているかと思うが、先入観や偏見を除いて観てはいかがかと思う。自らの欲を脱ぎ捨てて、人類の幸福のために人生を捧げた姿は、感動ものである。海外ではそう言った偏見がないので、既にいくつかの賞を受賞しているのは、とてもよく分かる。

刺激の多いことが良いとされるような風潮がある映画界で、淡々としたストーリーの中にも人間の機微が感じられる、これまでのアッピール方法と全く異なる映画。
人生の深みが感じられる。
感性がマヒした人には、つまらない映画と思われる可能性があるだろうが、今一度、人間とは何かを考えるには、価値ある映画であろう。
この映画の評価は、30年後ぐらいに本物がでてくるのではないか？
少々、次元の異なる映画、というか、人生劇場といった感がある

とにかく主演の俳優さんの純粋さや透明感に感動しました‼️ 演技という領域を超えているのでは 😳

主人公がただひたすら世のため人のために頑張っている姿が本当にかっこよかったです✨