劇場公開日 2022年12月2日

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「まだまだ試行錯誤が続くDCユニバースを明るい未来に導くかも知れないバッタくさいのに堅実な娯楽作」ブラックアダム よねさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0まだまだ試行錯誤が続くDCユニバースを明るい未来に導くかも知れないバッタくさいのに堅実な娯楽作

2022年12月11日
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鑑賞方法:映画館

紀元前2600年、カーンダク王国を統治する王アフトンは更に大きな力を得るためにサバックの王冠を作るが家族を皆殺しにされたテス・アダムは魔術評議会からシャザムの力を与えられてアフトンを倒すがその強大な力を恐れた魔術師達によってサバックの王冠とともに岩山に封印されてしまう。5000年後サバックの王冠発掘を目論む傭兵組織を阻もうとした考古学者アドリアナは王冠を奪還しテス・アダムの封印を解いてしまう。一瞬にして傭兵組織を殲滅したテス・アダムが米国に対する脅威となると察知した米国政府のウォーラーはJSA(ジャスティス・ソサエティ・オブ・アメリカ)を招集、テス・アダムを捕獲する作戦を実行するが・・・。

主役がザ・ロック様なので、5000年前の話から始まるので『スコーピオン・キング』と何が違うのかと首を傾げざるを得ませんし、スーサイド・スクワッドでもジャスティス・リーグでもない上に見た目がアベンジャーズ、X-MENやWATCHMENとも見紛うようなバッタくさい急拵えのグループJSAで迎え撃つみたいな浮わついた話になかなか乗れずに苦労させられますが、テス・アダムが5000年前の人間なのでアパートのドアの開閉の仕方が解らず毎回壁をブチ抜くとか、アドリアナのお兄ちゃんがすっとぼけた電器屋だったりとかのおバカパートにニヤニヤしているうちにだんだん慣れてきます。意外で面白かったのが『続・夕陽のガンマン』からの引用。映像のインサートもあるしリスペクトに溢れたカットもあり。劇中の登場人物に“善玉、悪玉、卑劣漢“を対比させる粋な演出でした。あとはMCUへの対抗意識がエゲツないド派手なアクションシーンの絨毯爆撃で大いに盛り上がり、ちょっとだけ意外なクライマックスに突入、毎回面白いけどお尻が痛くなるMCUに対して続編への目配せも込み込みで124分と比較的コンパクトな尺に纏めているので満足度はかなり高いです。この辺りはジャウム・コレット=セラの手堅い手腕の賜物かと。

娯楽映画としての必要十分要件は全部満たしている感はありますが、世界観が固まったMCUに対して焦点が定まらないDCユニバースはまだ試行錯誤中の様子、とりあえずDCの看板であるアイツが出てくるらしい続編に期待です。

よね