「ハリウッド的子供騙し映画。【酷評注意】」ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密 オブスキュラス田中さんの映画レビュー(感想・評価)
ハリウッド的子供騙し映画。【酷評注意】
ハリウッド的子供騙し映画。
ファンタビ1,2は楽しんでいたが、今作を見てがっかりした。
最もショックだったのは、国際魔法組織のリーダーをキリンで決めるシーンである。
リーダーをこんなイカサマが簡単な決め方をして、かつ不正がないかのチェックすらもしないなど、魔法使いたちはただの馬鹿の集まりかと笑ってしまった。
ハリポタ世界がこんな間抜けたちの集まりの世界だなんて思いたくない。
またニュートが監獄に囚われたテセウスを助けに行くシーンにも失望した。
虫の前でテセウスに変なダンスをさせて笑いをとろうという試みであろうが、
サイズの小さい虫が人のダンスを見て仲間と認識するのには明らかな無理がある。
これまでの作品にあるシーンの自己模倣であろうが、この愚かさには耐えかねる。
そしてキャラクターを掘り下げられず薄っぺらい勧善懲悪に終始していた。
特にこれまで圧倒的なカリスマで力ある魔法使いとして描かれ魅力があったグリンデルバルド。
今作ではクリーデンスにもクイニーにもカーマにも逃げられる始末である。
カリスマとは一体?
それにああいう世界には一度忠誠を誓ったものを縛る魔法とかあるはずである。破れぬ誓い系の。
そういうの絶対に使うタイプだったのに、抜け目がありすぎる。
くわえてグリンデルバルドの作戦もひどいものである。
血の誓いで戦えないダンブルドアを倒すために必死に探し出したクリーデンスを
戦いに慣れてないうちにダンブルドアを襲わせてあっさり負けて計画は破綻である。
また選挙では公衆の面前で不正したかわいそうな人となった。
そもそも知性と思想のあるリーダー・カリスマで魔法界で支持が増えてしまったのが恐ろしさだったはずだ。
男グリンデルバルドがこんなインチキをする必要はなかっただろう。
しかもキリンもう一頭を処理できない状態で自信満々であった。
未来が見えるはずだったのにどうして・・・
ただの間抜けな小悪党である。
これまでの作品からの伏線の数々をさらっと回収してしまったのも今作の魅力の一つである。
血の誓いも簡単にやぶれた。
そもそも攻撃呪文を防御呪文で受けるなんて簡単な条件で解除されるんならこんなに苦労しなくてよかった。
ダンブルドアの血筋であれだけ力を秘めていたクリーデンスもあっさり脅威ではなくなり
クイニーも「もう戻れない」といいながらさらっと戻ってきてマグルと結婚。
これまでの話っていったい何だったんだろう?
ダンブルドアの秘密というタイトルであるが、
それならいくらでもグリンデルバルドとダンブルドアの関係を掘り下げられたはずで、
過去の回想に期待して見に行った人も私を含めて多かっただろう。
だが・・・「あらびっくり!クリーデンスは弟の隠し子!」でその関係も特に掘り下げず終わり。
全く笑ってしまう。
薄っぺらい勧善懲悪、どう見ても嘘なネタシーン。薄っぺらくて空虚な「僕らが世界を救う」系トーク。
ハリウッド的愚かさだ。
ハリーポッター作品は、子供向けの中に大人でも楽しめる深さがあるのが魅力であるが、
この作品は完全に子供騙しであるどころか魔法界まで間抜けの集まりにしてしまった。
残念の一言である。