エルヴィスのレビュー・感想・評価
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エルヴィスも闇を抱えていた
バズ・ラーマン監督は、やはりうまいな。映像表現の個性はこの人独特のもの。芸術性と娯楽性が両立してるのはさすが。観客を引き付ける見せ方がうまい。
晩年のエルヴィスの薬物依存と過食、マネージャーによる金銭的搾取がひどい。この闇の深さがエルヴィスを若くして死に追いやってしまった。
ロックの源流
エンターテイメントとして上手く処理しつつも、プレスリーの人生を丁寧に描いた秀作である。生まれ育ったメンフィスの黒人社会の中での貧しい白人の生活環境で培った音楽のセンスが世界へと届く過程がとても興味深い。ロックはハイブリッドな音楽であり、様々な音楽文化が溶け合って出来た音である。そう、プレスリーという人間の中で生み出された音楽なのだ。プレスリーがカントリーのフェスで初めて披露したブルース「ザッツ・オールライト」のシーンがまるでその時を見ているかのように思え、鑑賞中に鳥肌が立った。まさに、ロックが生まれた瞬間に立ち会った錯覚に襲われたのだ。素晴らしい映像体験だった。映画館での鑑賞に足を運ぶのは、強烈な映像体験を得たいからでもある。
ロックの見た目は勢いがあってパワフルだが、その真実は見っともないほど弱々しい自分に鞭打ってひと時の去勢を張るパフォーマンスだ。それだけに、利用され易く、騙され易いのだ。プレスリーもそんな十字架に貼り付けられたロックの受難者である。ロックの本質は悲しい音楽でもある。
全くの余談であり、私的な告白をすると、私は確かにロック好きなのだが、映像に映るB.B.キング、ビッグ・ママ・ソーントン、リトル・リチャード、マヘリア・ジャクソンの姿や歌により深い感銘を受けている自分を発見した。そう、私はロックよりも更なる源流のブルースに心を奪われてしまうのだ。「エルヴィス」を鑑賞した今日は、私の音楽のルーツはブルースにあるのだと理解するに至った神秘的な日でもあったのだ。プレスリーが教えてくれたのだ。
黒人音楽という”禁断の果実”を白人へと広めたスーパースターは金色夜叉によるマネジメントで世を席巻し、生の実感を希薄にしていった...
3時間近い尺なので生い立ちから丁寧に足跡を描いてくれるのかと思いきやそこはハッタリの得意なバズ=ラーマン監督、大胆に"起"はカットしてエルヴィスのアキレス腱だったパーカー大佐との出会いから始まり、自由に愛のままに羽ばたこうとするエルヴィスとそれを制御しようとするパーカーとの腐れ縁、栄枯盛衰を華々しく描いていて、その過剰で繊細な半生を追体験させてくれます。
トム=ハンクス演じるマネージャーのパーカー大佐は贅沢と契約でエルヴィスを縛りつつも一方で彼を息子のように愛し、硬軟合わせたまるでヤクザのような悪漢です。
対するエルヴィスはあくまで愛を込めて歌を届けたい人物であり、その純粋さゆえに金にも愛にも禁忌を持ち得ず感覚が麻痺していったのではないでしょうか。
そして、エルヴィスにとっては成功と破滅の両方の原因であるアキレス腱がパーカーであったというだけで、世のあらゆるスター、それも急速に売れた傑物は必ず身内に火種を抱え、やがて腐敗していくものかと考えるとなんとも暗澹たる思いです...。
改めて
42歳にして逝った天才の悲しい物語
ロックってそういうバックボーンか
最低の一品
天才の運命
「ボーラプ」に並ぶ名作。オススメ。
予想を上回るほど #Elvis が良かった。
ミュージカル映画や伝記系は、ララランド・Bohemian Rhapsody・レミゼラブルを越えられないのでは?と
懐疑的なスタンスでいたため、「アリー スター誕生」や、「ロケットマン」は未鑑賞で飛ばしている。
特にプレスリーのファンでも無く、曲名も恥ずかしながら一曲も知らず、
聞き馴染みのある曲も無いのだが、気になっていたため鑑賞。
1番印象に残ったのは、クリスマスソングのTVシーン。
JFケネディ暗殺のタイミングと重なり、(これは史実なのかは後ほど調べたいほど、奇跡的)
翌日に出した新曲。これが心に響きまくった。
また、タイムリーな出来事として、安倍元主相が凶弾に倒れるというシーンとどうしてもフラッシュバックしてしまい、
感情移入をしてしまった。
そんなときに、「音楽に救われる」人はたくさんいるのではないか?
今の日本も救ってくれるミュージシャンがいるのではないか?と考えさせられた。
良い後味でもあり、早くエルヴィスの曲を聴いて余韻に浸りたく、
エンドクレジットは観ないで出てしまおうかと思ったが、
良い音楽だったので、聴いていたら、最後の曲まで感動した。
物語の根幹は、人種差別。
黒人の文化を白人が真似することが犯罪の時代。
世に溢れるこのテーマを、今やることに非常にメッセージを感じる。
作中でエミネムの起用が多かったのが個人的に気になり、
R&Bを白人が出来るというElvisと、
ヒップホップを白人が出来るというエミネムの、
ジャンル別のパイオニアという繋がりがあるのでは?と考察した。
時代も進んできているので、MJの This is it でない、実写をそろそろ観たいと思った。
*すでに作製決定しているのなら勉強不足なので後ほど調べる。
悪くないが…
悪くないが、エルヴィスのすごさや悲運に大きく感情をゆさぶられることは少なかった。
ボヘミアン・ラプソディが良すぎたので、ハードルが上がりすぎてしまったか。
マネージャーや経営者(父親)の非道さや無能さに激怒するべきなんだろうが、なんか「なるようになった」、って見えてしまった。
エルヴィスに熱狂する女性たちの姿が激しすぎて、実際にこんな感じだったのか、映画ということで誇張されているのか、とまどった。彼女たちに共感して音楽に熱狂するというよりは、むしろ冷めてしまった、というところがあった。エルヴィスの曲はけっこう好きなはずなんだけどなー。
サイコスリラー?
エルヴィス・プレスリーのことはあまり詳しくはなく、不良とか問題児のイメージだったけど、人間的にすごく魅力的な人だった。
子供の頃の集会所のシーンは、彼の音楽的なキャラクター形成に多大な影響を与えた素晴らしいシーンだった。
そして例のライブシーン。
貞淑であれという、古き良き時代のアメリカ女性の"メスの本能"に訴えかけるパフォーマンスは、まさにスター爆誕の瞬間。
その後も熱狂的なライブシーンで長尺作品ながら飽きさせないのは、流石バズ・ラーマン。
しかしやはりトム・ハンクス。
何度もエルヴィス逃げてーと思いながらも、離れられない恐怖。
前半で持っていたピエロのステッキが、ゾクゾクするほど悪趣味に見える。
あの手この手でプレスリー家を食い物にする様は、まさにサイコパス。
上手い役者さんだなぁ。
何度か出てきたビールストリート。
カッコいい街並みだなぁ、行ってみたい。
2時間くらいなら何度か観たいけど、長いからどうだろう?
ありそうで無かった伝記映画。
音楽好きにとってもちろんのこと、映画好きにとっても面白い作品に仕上がっていると感じました。
プレスリーは「ロックンロールの元祖」として、その後のビートルズを筆頭とするポピュラー音楽ワールドの基盤を創ったアーティストではありますが、その“芸風”の根底にあるのは、ソウルフルな黒人音楽の持つ「圧」と「熱」であると強く感じます。映画の中でのカットこそ短いのですが、彼に大きな影響を与えたとされるリトル・リチャードやシスター・ロゼッタ・サープ役の見事なパフォーマンスが、ある意味この作品のキモ。B.B.キングはやや脱力ですが、これら黒人アーティストをはじめとする脇役たちの演技が光っています。そして、エルヴィス役に抜擢された主役オースティン・バトラーの凄まじい「なりきり」もさることながら、エルヴィスのマネージャーとして悪名高いトム・パーカー大佐を、これまた「なりきり」大好きな大御所トム・ハンクスが演じきり、この作品の魅力をさらに高めています。
映像作品の観点では、画面デザインの要所要所でタイポグラフィを効果的に採り入れたり、音楽サウンドと共にシークエンスを敢えて細かく切り繋いでいくことで、プレスリーの音楽の進化を濃密に表現している点は結構なインパクトです。
トム・ハンクスが主役かな?
60年~70年代の背景映像も素敵でした
一番得したのはホテル
エルビスで客寄せ。支払ったギャラは大佐からカジノで回収。すげー集客・回収システムw
エルビス・プレスリーと言う、偉大なアーチストへの個人的な思い入れが全く無い世代です。ボヘミアン・ラプソディを引き合いに出されてもですね。そもそもプレスリーの曲とか数曲しか知らない。Somethingを唄っていたのは記憶にありますし、TVで芸人が物真似してたのを覚えてる程度。
要するに、スルー態勢に入ってたんですが、長すぎる待ち時間にちょうど良くハマったのがコレだけだったので鑑賞したと言う、最近のあるあるです。
兎に角、映画としてのクオリティの高さに感動した。特に冒頭の音楽に乗った息も継がせぬ展開の素晴らしさ。画も音楽も演出も編集も、高密度で精細にして緻密。この粒度の高さでオシオシに押してこられて、寄り切られたw
メンフィスのブラック・ミュージックを白人が演る。まぁ、ジャンルは違えども、ジャズを白人が演奏する事、それ自体に難癖付ける日本のオッサンは多かったし、「マイルスデイビスは黒人じゃない、あれはダメだ」なんて言う日本人は少なくなく。日本でもこれですから、当時のアメリカの反感の凄さは想像がつきます。で、そこを、腰を振って女子を虜にして押し切ったと。いやぁ、そうですよね。Queenだって一番最初に飛びついたのは女の子たちだったもん、日本じゃ。
マネージャーの借金でホテルに縛り付けられたエルビス(と言う演出)。それは、エルビス自身が観客からの愛を求め続けたがゆえ。つまり、エルビスは自部自身で檻を作っていただけなのだと。
人は愛を求め続ける生き物なんでしょうか。と言うか、自分自身は、いまのところそうでもなくって、愛はなくても話し相手がいてくれればいいや、なもんで。他者からの愛を求め続ける人の物語りには、率直に言うと、悲哀なんてのを一番最初に感じてしまうのでした。
良かった。とっても。
賭けるも賭けられるも人生はギャンブル
現代を思い出させないで!その時代に浸りたかった。
エルヴィス・プレスリーのLPレコードが者心ついた頃には部屋にあった。両親が若い頃に買ったレコードで、子守唄のように自然と聞いて子供時代をすごした。
日本でも多くのシンガーが影響を受けていると思われる。
学生時代はユニコーンの阿部B、今のABEDONが黒いガムテープでもみあげを作って顔の両サイドに貼り付けて、プレスリーの衣装で人生は上々だを歌うのを観て楽しんでいた。プレスリーのステージパフォーマンスはファンを魅了するのがよく分かる。だから色んなアーティストがマネをしたくなるのだ。
そんな幼い頃から親しんできたプレスリーをオースティン・バトラーが演じてくれた。とても良かったと思う。
若き日から恰幅のいい晩年まで素晴らしかった。
ただ、音楽映画としては本当にひどい。
観客はプレスリーが観たいしプレスリーの曲が聞きたいのだ。
それなのに途中で現代音楽や効果音的BGMはいるか?
ノイズにしかならないわ。
完璧に邪魔で耳障りであった。
エンドロールでも容赦なく。
ヒップホップなどない時代にタイムスリップして余韻に浸っているのだから変なアレンジの曲で邪魔しないでくれと思う。
誠に残念。
伝記的映画は、どの視点から描くかで随分と変わる。
この映画でエルヴィス・プレスリーが誤解されるような可能性も感じたし、エルヴィス・プレスリーを取り上げるという題材はいいのに惜しい作品だったかな。
映画の後に女子トイレに行くと面白いことが分かる。
女子トイレは混んでいて大抵並ぶので友達同士で来ていると感想を言い合うのを聞くことが出来るからちょっと楽しい。
年配の女性が沢山並んでおり、歳格好は自分の母親くらいに見えるので、恐らくリアルタイムでエルヴィス・プレスリーが好きだった世代のお姉さま方だと思う。
プレスリーをリアルタイムで好きだった女性たちからしたら、後半はだいぶ事実と違い都合よく脚色されていたんじゃないかような感想も聞いた。
衝撃的だった… 純朴な青年がショービジネスの世界にズタボロにされてゆく!
まず驚いたのが、アメリカの黒人差別・白人至上主義が音楽にまで及んだ時代があったこと
白人であるエルビスがゴスペルやR&Bがルーツである曲を歌うことで、
黒人文化と白人文化が融合される、と社会問題にまでなる
白人と黒人は、音楽でさえ、ひとつになってはいけないのだ
自分らしいパフォーマンスが許されず、苦悩するエルビス…
しかし!
一生悩まされたのは、狡猾で、言葉巧みな
パーカー大佐の存在だろう
まさに、エルビスの背後霊のように取り憑き
死ぬまで稼がせ続けた
パーカー大佐は、エルビスに、
ショービジネスの世界で高く飛べる翼を与えた
しかし、とまり木で休むための足をもぎ取った
アメリカを出ることもできず、薬漬け、孤独と戦いながら、
飛び続ける鳥のように、エルビスには歌い続けることしか
残らなくなる…
手に入れた栄光とは裏腹に哀れだった
では、パーカー大佐は根っからの悪党だったのか?
エルビスへの愛情がなかったとはいわない
しかしそれは、金の卵を産む鳥を愛でるような
いびつな愛情ではなかったか?
それとも、エルビスのほうが愚かだったのか?
…と、思わせるこの辺のビミョーな表現を、
大御所トム・ハンクスが見事に演じていて
さすがだった!
また、このパーカー大佐の視線で
物語が進行するところも、おもしろかった
ショービジネスの世界で、自分のスタイルを貫いて
生き残っていくのは並大抵のことじゃないんだ…
と、しみじみ思った
フレディ・マーキュリー然り、マイケル・ジャクソン然り…
人気絶頂なのに活動を休止したBTSもいろいろあったんだろうな…とか、
鑑賞後ぼんやり考える自分がいた
自分の人生は誰のものか
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