劇場公開日 2022年7月1日

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「そうか、ラーマンの派手な絵作りは、プレスリーと相性ぴったりなんだ、と気づかされる一作」エルヴィス yuiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0そうか、ラーマンの派手な絵作りは、プレスリーと相性ぴったりなんだ、と気づかされる一作

2022年8月9日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

バズ・ラーマンの名を世界に知らしめた『ダンシング・ヒーロー』(1992)を想起させる、若さの熱狂ときらびやかな舞台装置、そしてスピーディーなカメラワークが堪能できる一作。

ラーマンの作品は基本的に、主人公然とした主人公が話の軸になる、という物語的な明快さがあるんだけど、本作は題名となっているエルヴィス・プレスリーではなく、そのマネージャー兼プロモーターで、一般的には悪名で知られるトム・パーカー(トム・ハンクス)の目を通した物語、という点で少し変則的な作りとなっています。

エルヴィス・プレスリーという不世出の天才が登場した瞬間の、言葉にできない、見ることも許されていないような気がする、でも目が離せないし、身体の奥から突き上げるような衝動が沸き上がっている、という興奮状態をこれ以上ないほどに見事に表現しています。もちろんプレスリー(オースティン・バトラー)の切れのある動き、激しい音楽とカメラワークがその興奮を十二分に表現しているんだけど、一番印象的なのは、得も言われぬものに遭遇して言葉を失っている女性たちの「眼」です。この演技、表情がその場の熱狂をスクリーンの外に溢れさせています。

トム・パーカー視点で描いているから、何か定説とは違ったパーカー像、プレスリー像を見せるのかと思ったら、基本的に評判通りの悪徳プロモーターだったという!このあたり、本作の制作にプレスリー家がかかわっていることも関係してそう。

ほぼスクエアのパンフレットも内容豪華で、劇中曲の解説まで掲載しているのはありがたいです!

yui