「この映画にヤラれるとは!!」ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結 ドラゴンミズホさんの映画レビュー(感想・評価)
この映画にヤラれるとは!!
1作目がダサいクソ映画だったのに対して、本来こういうのが狙いだ!と言わんばかりに生まれ変わった傑作!
監督が変わったらここまで違うのか。
●テンポとリズムが抜群にいい。
「説明なんていらんでしょ?」とばかりにさっさと本筋を始め、回想もダラダラ時間をかけない。だけど緻密に計算されているのでわかりやすく内容が頭に入ってくる。効果的に客をノセるのがうまい。
●ことごとく予想を裏切る展開に脱帽! ジェット・コースター・ムービー!
主役級と思ったらあっさり死んだり、対決かと思ったら重弾1発でケリがついたり。最後の怪獣の倒し方もそうくるか!と興奮した。
●イケてないズレてる奴らという描写が秀逸。
前作では悪党を人間味あふれるように描いたからキャラクターが死んでしまった。今回は愛も信念もあるがそのベクトルがズレてる奴らとして描いたから、その個性にスゴく深みが出て魅力的。ダラダラと描写しなくても共感できた。正義のために悪行を隠匿するという描写も皮肉が効いてて面白い。
●ハーレー・クインが魅力的!
前作は男に振り回され空元気を出してる風でつまらなかった。今回はまるで違う。本能のように頭が吹っ飛んでる感じがいい。アクションも前作のつまらなさと比較にならない。敵の首を締め腕力で人体を釣り上げるとかツボだ。
●悪党の能力が個性的。
前作の最大の不満は悪党たちの能力のつまらなさだった。火を出すとか。
カラフルな水玉攻撃、ネズミ攻撃、腕だけ飛んでいくとかふざけてて面白い。怪獣を倒すのがネズミというのも見事に予想を裏切ってくれた。
●セリフのセンス!
親子の会話も普通にやればお涙頂戴路線だが、腕時計を万引したうんぬん実にくだらないが笑えて、しかも二人の微妙な関係性を見事に表現している。
●アクションがスゴイ!
派手なだけでなく本当にひとつひとつ考え抜かれている。いちいちそういう殺し方する?いちいちそこ見せる?とか笑いと興奮をさそう。突かれた心臓をわざわざ見せるとか。
●映像センス!
殺戮に少女趣味な花びら、目玉の中に突っ込んで幽玄、ポップでクール!
●音楽もツボる。
ジェームズ・ガンは音楽センスがいいんだな。下手したら外しそうな音楽をダサカッコよく入れてくる。
●おマヌケでポップなデザインがたまらない。
真面目なデザインだったらつまらなかっただろうな。怪獣、カワウソ、カラフルクラゲ、衣装などPOPだけどおマヌケなセンスがクール。
全体のレビュー評価が低いのは残酷表現についていけない人がいるからかな?でも娯楽の中に悪趣味という楽しみ方があって、その悪趣味のセンスがいいか悪いかも含め評価して欲しいところ。でも難しいだろうな。ホラー映画とかいくら名作でもわからない人にはわからないから。
前作のレビューでDCはセンスないと書いたけど、作品によりけりと訂正したい。
とにかくいちいちセンスがいいB級娯楽の傑作だと思った。