「タナトスと悪趣味の先にあるもの」ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結 よしえさんの映画レビュー(感想・評価)
タナトスと悪趣味の先にあるもの
ジェームズ・ガン監督凄い。
前作(といっても今作は続編じゃないけど)も悪くないと思ってたけど、監督でここまで変わるものですかね。
元々実力も実績もある監督が、ステークホルダーからどれを撮っても良い、好きに撮ってほしいと言われ、自由に作品を作った結果がこれ、というのは本当に素晴らしい。
わたしはGotGでしか監督の作品を知らないけど、かなりの裁量が認められているとはいえMCUという長大なストーリーラインの中でそれなりに制約のある作品とは全く異なる一面を見せてもらえた。もちろんGotGはMCUの中でも大好きな作品だし、あれはあれで大変良く出来てるとは思うけど。
のっけから暴力とゴア表現の雨あられで、そういうのが苦手なわたしはどうしても若干引き気味になるんだけど、悪趣味なジョークで印象を上書きされてあまり気にならない。むしろ場面転換に使われるスパイスの効いた情景の美しさにどんどん引き込まれていき、あっという間にエンディングまで駆け抜けていく。中盤のハーレイ・クイン一人舞台は感動もの。
元々が2流以下ヴィランの再生企画みたいなものなので、変なキャラが目白押しなのも弄り甲斐があって監督には合っているのだろう。それでも個々のキャラクター性に引きずられず、割とあっちこっち好き勝手に展開していく物語を綺麗に纏めたところもなかなかのものだ。こういうストーリーなので続編と言えるようなものができるのかは分からないけど、次があるなら期待したい。
もちろんMCUに帰ってくるのもお待ちしてます。