「大変楽しませて貰った。然しお子様には勧められませんね。世界はdirty little secretsに満ちた場所である事を知ってしまったlittle dirtyな大人が楽しむ為の映画。」ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結 もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
大変楽しませて貰った。然しお子様には勧められませんね。世界はdirty little secretsに満ちた場所である事を知ってしまったlittle dirtyな大人が楽しむ為の映画。
①一番気になったのはヴィオラ・ディヴィスをゴルフクラブでぶん殴ったオバチャンがその後どうなったか。クレジット後のシーンで手を出さなかった部下はクビにならなかったようだけど(その代わりお荷物を押し付けられたが)、上司をゴルフクラブでぶん殴ったらフツーはクビでしょうな。もしかしたらあの刑務所にぶちこまれたかも。暴力満載(さて映画の中で何百人死んだでしょう)のこの映画で、良いことをしたのにたった一回の暴力でそんな目にあったとしたら正に不条理。②ジェームズ・ガンの映画作りの巧みさは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』を観れば良く分かる(『2』はちょっと落ちたけど)。脚本が巧い。『フリー・ガイ』といいハリウッドの良くできた娯楽映画は本当に脚本が良く出来ている。③謳い文句は『“極”悪党たちが決死のミッションに挑む(だったかな?)』だけど、究極のラスボスはアメリカ政府だったという仮面ライダー(原作漫画)みたいな良くある展開。アメリカ政府が凶悪すぎるから悪党達の悪党ぶりがそんなに鼻に付かず逆にヒーローっぽく見せる作劇法か。そのラスボスぶりを体現しているヴィオラ・ディヴィスは流石の好演。④そのラスボスに与しているのが最後に判明するジョン・セナ扮するピースメーカー(この場合「平和」というより「秩序」でしょうな)。白パン1丁の裸体で登場したときは如何にもアメコミ風で笑ってしまった。筋肉モリモリの体に(腕、太!)モッコリパンツ。日本女子お好みの細マッチョなど消し飛んでしまった。大義名分の為なら女子供まで殺してしまうというキャラクターそのままに、スクワッド の中では一番好い人っぽかったフラッグ大佐を命令遵守の為には殺してしまったり目撃者のラットキャッチャー2(これまた悪党とは思えないキャラ)を冷酷に殺そうとしたり、やっと死んでくれたかと思えば最後しぶとく生き残っていたり。⑤そう言えば、ブラッドスポートにしても友人のフラッグ大佐が命を捨ててまで果たそうとした国家機密も自分達の保身の為の取引材料にしてしまうし、やっぱり悪党達だはこいつら、と「悪党だけれど根は良い人だという如何にもハリウッドらしい鑑賞後の爽やかさ」をしっかり裏切ってくれます。⑥そういう、舞台となった独裁国家も結局どいつが善でどいつが悪かぐちゃぐちゃというのも含めて、善悪のカオスを思い切り振り切ったアナーキーな作風や、クライマックスは殆んど怪獣映画になってしまうというこれまた振り切りぶりにニヤニヤしてしまった。⑦残念だったのは、大活躍の割には意外と精彩のなかったマーゴット・ロビーのハーレイ・クイーン。ちょっとマンネリになってきたかな。