「他の方が書かれていないところ(字幕不足など補足)」THE BATMAN ザ・バットマン yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
他の方が書かれていないところ(字幕不足など補足)
今年68本目(合計341本目/今月(2022年3月度)10本目)。
----
(3/15 22:30 わかりにくいところを追加)
----
観た方もこれから観られる方も、この映画は要は「リドラー」との「なぞなぞ対決」的な部分はあり、それらの話をし始めると一気にネタバレになるので、そこがわかりにくいだの何だのという部分はカットします(日本の「なぞなぞ」とはやや違うが、文化的に類推できる範囲です)。
私自身はこの映画は原作からは観ていませんが、初めての方も入れるように配慮はあります。ただその分、他の方も書かれていた通り、3時間とかなり長く、今週(11日~の週)はこれが大本命枠になると思うのですが、3時間を長いと取るか「初めての方も考慮した」と考えるかは微妙なところです。
個人的に気になったのは字幕の翻訳不足で、この点が本質的に映画の理解につながる重要な点なのですが、ここが抜けているため、かなりの語彙・文法(実は「文法」のほうが重要。下記にて)が求められます。また、一見翻訳されていない語も後からは出るものもありますが、正直、準1~1級レベルの単語をホイホイ出してきますので(しかも、出る単語の分野は理系文系問わずバラバラ)、「字幕は後から出る」(出ないものもある、後述)と考えたほうが良いです。
本映画に関しては結局のところ、そういう「英語がわかる方は気にする論点」はあるとしても、実質は「ファンサービス枠」と考えるのが妥当で、その限りではリドラーの「なぞなぞ」なども意味不明になっていませんし(日本の文化からでも理解可能なように配慮されている)、そこまで大きな傷はなく、今週の大本命枠になるかな…と思います。
----------------------------------------------
(減点0.3) 主人公含め、色々な方とのやり取りの行方はテレビ(もっとも、架空のものでしょうが)で流れますが、ここの翻訳不足が結構あります(中には、まったくないものもあり、これが非常に難しい)。しかもストーリーの一つの核となる部分であり、語彙よりも英検よりの文法的な知識を持っていないと「何がなんだか不明」(字幕どころか、元の映画自体の英文法のミスのようにさえ見える)な状況が発生するところがあります。
▼ 「リドラーが言うには、(この仕掛けで)動画の再生回数が1000万回を超えた」という趣旨の字幕
・ この部分(全体で60%あたりの部分かな?)。テレビの字幕で出るところですが、日本語字幕なしの状況。
ここで使われている動詞は、中学1年でも習う超基礎動詞の go です。しかし、 go は自動詞なので、目的語を取れません(同族目的語などの論点除く)。同じ理由でthat節もとれません。
-------
★追記★ 自動詞の同族目的語とは?
dream「夢を見る」は自動詞ですので、目的語を取れません。しかし「良い夢を見る」のように、「動詞と縁のあるものに限って目的語を取り、一時的に他動詞化する現象」があります(dream a good dream)。このような自動詞の他動詞化を「同族他動詞」といいます。
日本語では「歌を歌う」のようなケースを想定すると、わかりやすいです。
-------
しかし、そのあと、that自体は省略でき(that節のthat自体は大半で省略可能です)、そのあとにS+Vの完全な文があるので、ここのthatは関係代名詞ではありません。
実は go には「~が言うには」という意味の他動詞用法があり、その限りにおいて他動詞用法です(that節を取りますし、that自体も省略可能)。ただ、動詞 go の他動詞用法自体が非常にマニアですし(「言う」だけなら、thinkやsay 、tellでも可能)、このthatも省略されている(基本的に英語ではthatは、that節でも関係代名詞でも(目的格なら)省略可能)ため、このgo の他動詞用法がわからないと字幕の翻訳不足もあり、何がなんだかわからない(かつ、動画再生の話はストーリーの一部にかかわってくる)ところが明確にあり、ここは不親切かな…とは思えます(このあと、動画の話になるが、「何度も再生されてうれしいだろ」とか挑発してくるシーンのセリフが意味不明になる)。
※ なお、英字新聞やニュースの見出し、速報など「可読性」が求められるものでは、「過去形のことでも現在形で書く」というルールがあるので、wentにはなりません(goか、三単現のsがつく goes が正しい)。
※ また、think「思う」を頂点にする「~を思う、言う、論じる」などの「思考動詞」(言うことも「言論・思想」の一つです)は、that節を基本的に取ります。動詞go もその例外ではありません。
----------------------------------------------
実はこれらのことを知らないとハマリ現象が発生する部分があったりします。