「マトリックスの続編ではなく、SDGs等の社会課題に対するメッセージです。」マトリックス レザレクションズ 向山雄治さんの映画レビュー(感想・評価)
マトリックスの続編ではなく、SDGs等の社会課題に対するメッセージです。
マトリックス1~3部作まですべてを見た人としては、本作は、物足りない部分が多いと思います。
表面的な話をすると、単純にアクションシーンに斬新さがなく、ストーリー展開にドキドキ、ハラハラする部分がなく、予想通りの展開です。
とはいえ、前作からのつなぎは、見事です。
本質的な話をすると、「物足りない」と感じる理由は、おそらく、監督が作りたくて作った映画ではない気がするからです。
マトリックス上でのゲーム会社のボスと主人公とのやりとりや、最後に出てくる「キャトリックス」や「メディアの話」から推測すると、興行収入目当てで周囲から続編を作るように煽られていたのかなと感じます。
マトリックスシリーズの続編のためにストーリーを考えたというよりも、今の社会課題やメディアに対するメッセージを組み込むことが目的だったように思います。
目的が分散しているから、なにか物足りなさを感じるのだと思います。
でも、そのメッセージ性には、意味があると思います。
まず、映画タイトルの「レザレクションズ」というのは、「復活」の「複数形」、つまり、ネオとトリニティ-の二人のことですよね。
過去のマトリックスシリーズは、すべて、女性は脇役のような役割で、ネオという男性が「救世主」として、世界を救う展開になっていました。
それに対して、本作では、女性であるトリニティ-が、実質「救世主」として、「まだ力が戻り切ってないネオ」をマトリックスから救出しています。
これは、今の世の中のジェンダー平等、つまり、SDGsへの取り組むことの大切さも描いていると思います。
総合すると、「マトリックスシリーズの続編」としては、物足りないけども、「社会課題へのメッセージ」と捉えると、凄く共感できる、後押ししたくなる映画です。