「リブートではない、真・マトリックスだ」マトリックス レザレクションズ tabletapさんの映画レビュー(感想・評価)
リブートではない、真・マトリックスだ
マトリックスファンなら必ず視聴するべき
ファンでないなら過去シリーズをすべて見て、周辺知識の説明を観て視聴するべき作品
個人的に最高だった、傑作と言っていい
ただしネオが聖人化された展開の『レボリューションズ』に全く、
これっぽっちも不満がない、あれでいい、と思うなら完全に蛇足なので視聴しないほうがいい
また、好意的に見るつもりがないならオススメしない。
理解できないものを理解するつもりなく、ただ批判するつもりなら絶対に楽しめない。
吹き替え視聴がとてもいい、名優ばかりだ
映画館で観たかったがご時世柄行くことが出来なかった、お家視聴にしてもデジタル購入版がやや高く、手が出なかったのでレンタルが安くなったこのタイミングで視聴
視聴前は本作をマトリックスシリーズのリブートかと思っていたが
しかしその考えは間違いだった
あの『レボリューションズ』において多くの視聴者が
納得の行かなかったであろう展開を、パラレル展開やなかったことにすることなく、
丁寧に組み立て直し、セルフオマージュを交えて
シリーズファンへのサービスをこれでもかと盛り込み、蘇生した
メタ的な要素、適度な笑いを含めた展開は最高だった
冒頭の第一作セルフオマージュ、"モーダル"からの、エージェントと思っていた存在の「わたしの名前はモーフィアス」という衝撃的セリフで一気に引き込まれる
年齢を重ねたトーマス・アンダーソンを再び舞台に立たせる、そして過去作を清算するためのストーリー展開は素晴らしい
ネオの想像の中ではあったが、モーフィアスとの再会場所と襲撃シーン
スミスの顔芸が最高だ
"兎を追え"
スーパーヒーローの記憶、能力喪失という鉄板で安心感のある展開
過去作キャラ登場、デジャヴュを意識したサブリミナル的演出は視聴に混乱をもたらすことなく良い効果をもたらしている。
新モーフィアスは良いキャラクター、いいファッションセンスだ
機械同士の戦争という僅かな説明で広がる世界
おなじみのアクションは『レボリューションズ』でインフレしすぎた内容を抑え、ちょうどいい具合だ
再会のメロヴィンジアンのセリフがメタ的で本作の味わいに深みを出してる
共闘は熱すぎる、"ザ・ワールド"、"スタープラチナ"だ!
"スウォーム"を使った落下攻撃はビジュアル的インパクト抜群だがゴアは控えめ
カーチェイス、爆発はいい具合の満足度
ヘリのセルフオマージュが嬉しい
ヒーロー覚醒、やはり"救世主"なので死からの蘇生が鍵というのは納得の行く展開だ
トリニティとネオの再会は、あの悲しい別れの後の蘇生、再会というだけではなく、まるで何十年もともに過ごした二人の姿を見たようで、胸にこみ上げるものがあった
そして最高のエンディング
『 Wake Up 』が流れた瞬間、泣いてしまった
『シン・エヴァンゲリオン劇場版』を観たとき、過去作への決着に感動を覚えたが、本作も似たような感覚を得られた
"プラグを抜くのにもう一人の脳みそが必要"というシーンでは説明が不足していて
マトリックスに入り込んでいるトリニティの精神を、ポッドプラグの伝送をバイパスして一度バックスの脳に接続して、その後にトリニティのポッドプラグを外し、船のプラグに接続し直すためのバックアップ用途
この処置について複雑な割に目的が説明されていないが、
マトリックス接続中にプラグを外すと死亡するという仕組みが頭に入っていてもピンとこないような気がする。
格闘アクションの振り付けはもう少しなんとかならなかったか…、スローモーションだけがマトリックスのアクションではない
動と静のメリハリのあるアクションが観たかった
新規キャラクター、過去キャラクターの扱いは満足。
リブートではなく、まさしくリザレクションだ。
本作によってキャラクターの蘇生だけではなく、『マトリックス』は本来の輝きを取り戻したと感じた
『レボリューションズ』がパワーインフレーションと混沌した展開になり、ネオの聖人化をするためかトリニティの排除をしたのは納得の行かない終幕だったと感じていたので
第一作同様のヒーロー覚醒からハッピーエンドに落ち着けたのは良好、本来のテーマに立ち返ったと感じる
ただし続編は望まない。これで完結、これでいい。スピンオフは作られてもいいと思う。
視聴前に、"人間電池"という設定は実はマトリックスの生体パーツとして使用されている設定だったという話を聞いてシリーズを再視聴した
"ソース"として人格がとらえられていること、プログラムにも人格が存在していること、"アノマリー"の存在など
マトリックスが単なる1と0のデジタル仮想空間ではなく、人間の脳を連結させた巨大ネットワークとして設定されたものと考えると、納得の行かない一部の設定が整理でき、『マトリックス』の世界観が広がったので
SFに造詣の深い視聴者は本来の設定がどんなものだったか、想像を巡らせるといいと思う
というかこの裏設定が頭に入っていないと、本作においての「アノマリーの中のアノマリー」がなぜ必要とかバックスの脳への接続とかに想像が及ばない気がする。