「静かに上映が始まったかつての超大作。」マトリックス レザレクションズ 侍味さんの映画レビュー(感想・評価)
静かに上映が始まったかつての超大作。
キアヌ・リーヴスはアクション映画に3回革命を起こしたと思っている。
最初にスピード。
ムキムキマッチョじゃない俳優がアクション映画の主役を張って、娯楽作として大ヒットを遂げた。
近年ではジョンウィックでひたすら強い主人公が凶悪に挑み、暴力の応酬で殲滅し、観客を魅了した。
その2作の間に公開されたのがマトリックス。
当時はバレットタイムを始めとする斬新なヴィジュアル、そして格闘技のインパクトに仮想現実、現実の世界を往来する凝った作りの脚本で多くのファンを産み出した。
その続編はかつての超大作の盛り上がりもなくひっそりと公開。
不安と興奮が交互に押し寄せて、かつてのマトリックス一作目をなぞる冒頭から一気に観ている側を突き放す。
一体何が。
ネオはどこに。
ようやくネオと再開したものの、そこから暫くはダラダラと緩い流れで話が進む。
かつてカタルシスと共に伏線を回収し、平和になったはずの世界は、銀河の新たな希望と同じく偉大な成果をあげたはずなのに、少し世界が変わっただけという絶望に突き落とされる。
あれだけの犠牲がこの程度の変化だったのかと落胆しつつも、後半になるにつれ一気に加速し始める。
コンテンツに溢れた現代では目新しいアクションも無く、そういう意味では地味に終わる。
散りばめられた幾つかのショットは美しく、より現実的な仕上げで統一されており、かつての緑が基調のどことなく無機質で冷たい世界からすると、何か暖かな世界観で仕上がってはいる。
しかしながら、かつてのモーフィアスは過去の人となり、結果、復活したネオの存在が人々に新しい力を与え、さながら2001年のモノリスの様な存在となって物語は終わる。
鑑賞後、数時間経った今でも、これが観たかったマトリックスだったのかは甚だ疑問が残る。
面白いし、かつてのキャラクラーが再登場するのはワクワクするけど、同窓会レベルを超えていない気もする。
ただ、今作は何度も繰り返し観る事で、理解を深めた先に本当の感動が眠っている気がする。
p.s. ネオは復活し、トリニティとヨリを戻しましたが、僕も先日別れたパートナーとヨリを戻しました。
Welcome to real world.