「resurrection = 復活」マトリックス レザレクションズ 葵須さんの映画レビュー(感想・評価)
resurrection = 復活
<あらすじ>
・ゲーム会社の一社員として暮らすネオ(役者:キアヌ・リーブス)。そこに現実世界(=機械側と人類側とに別れた荒廃した世界)にいるアイオの捜索隊がきてネオを救い出そうとする場面から物語は始まる。ネオは現実世界から着た人たちに対して、「自分が作ったゲームの中のキャラだからお前は幻想だ」と解釈してしまうが、徐々に真相が明るみに出てそれに対応していくという始まり。ネオはゲーム会社の一社員として生きる中で、記憶の隙間から前シリーズでの記憶が時折フラッシュバックする。それを映像でも表現しており、マトリックスシリーズを見たことが無い人でもなんとなく経緯が分かるしかけになっている。物語全体を通して、シリーズ初作であった事柄をなぞるようにネオは覚醒し、さらにトリニティーも覚醒していく。だからresurrection[s]なのだろう。
<良かった点>
・味方陣営にも四体の機械の仲間がおり、それぞれ固有の形をしていて面白い。孔雀は特に好印象なフォルム。エイのようでもあった。さらにモーフィアスも磁性を使って金属粒子を操り粒子の集合体により人体構造を作って動いており、真新しい表現だと少し感じた(モーフィアスは実体を持っているのか?は把握できず)。
・シリーズを通してのテーマとしてではあるが、仮想空間からリアルへの回帰を選択するテーマ性は良い。
・バッグス(役者:ジェシカ・ヘンウィック。青い髪の子)に素朴な可愛さを感じた。調べると母が中国系シンガポール人らしい。ネオ、トリニティ、スミス、アナリストと同等の活躍を見せていた(役者の顔を売りたいのかと勘ぐるほど。ネオやトリニティへの意識のフォーカスが彼女に奪われる場面が多々)。
<悪かった点>
・男と女の愛が物語の中心になることに疑問(これまでのシリーズでもそうであったのでこれは個人的な気持ちに過ぎない)
・アクションには不満。真新しさはない。ネオのアクションはいまいち。手をかざして遠隔でふっとばしたり弾を止めるアクションはあまり見栄えはよくない。物語の最後で覚醒したトリニティがキレの良いアクションと指パチンでアナリストを嬲る描写はかっこよかった。敵の『バレットタイム』の描写はそんなに見どころに感じなかった。また、全体的に戦闘シーンではモブが多すぎたり場面が暗すぎたりで視覚的にわかりにくかった。
・ED後、仮想空間におけるゲーム会社にて、時代はマトリックスではなく、シリーズもののcatrixが受けるだろうとジョークをしている描写。布石なのかもしれないが、そうでないなら、ジョークで終わらせるよりは主役の描写や今後があるならそれを匂わす描写にして欲しかった。catrixがそうなのかもしれないが。
<その他・疑問>
・トリニティ役のキャリー=アン・モスがウォーキング・デッドのキャロルになんとなく似ていると今更思った。
・今作はトリニティの救出がテーマだった。しかし、生き返って今後ネオとトリニティはどう生きどうその役割を果たすのだろうか?
・スミスは仮想空間の中で自分は自由になったとは言っていたが、仮想空間の中で一人間の役割を演じていくことに自由さと価値を感じているのだろうか?
<次作があれば>
・ネオとトリニティから世代交代するのも悪くないと思う。トリニティを人工子宮から救出する時にネオの次点で適合していると云われたバックスを中心に据えるのも可。
・テーマをどうするかは思いつかない。人類と機械とのどんぱちから脱却して人類の中での内乱か。
・アクションを今まで見たことがない斬新でいてわかりやすいモノを発明して披露してほしい。第一作でネオが見せたブリッジしながら弾を交わす場面のようなキャッチーさがほしい。全く想像できないが。
・技術デモとしてリリースされているThe Matrix Awakensが今後製品化される可能性はないのかな?