「キアヌの手のひら安売り大セール!」マトリックス レザレクションズ とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)
キアヌの手のひら安売り大セール!
"始まりがあるものには終わりがある"
・燃えないアクション!真似したくならない
・チートな波動 & "っぽい"スローモーション濫用!胸アツじゃない
・バチボコにカッコイイ決め画/アイコニックなシーン不足(というより無い?)!記憶に残らない
・モーフィアスがモーフィアスじゃない(バックグラウンドがあるにしろ?)!役者変わったどうこうでなく、ちゃらけ気味など全体的に存在が軽い & 薄い
= Resurrections復活じゃなくてReunionな同窓会的ボーナスラウンド?昔の映像もちょっとクドいくらい入ってきたし
あの世界中が熱狂したカッコ良さ --- 惚れ込んだ & 多くのフォロワーを生んだ、鮮烈に記憶に残る/脳裏に焼き付く少年マンガから飛び出したようなスタイリッシュさ --- が皆無!肝心のアクションもモッサリとしていてあまり燃えないし、記憶に残るようなショット・決め画もない。ユエン・ウーピンが関わっていないのだろう、その結果困ったらなんでもスローモーション多用 = "マトリックスっぽいっしょ?"。手持ちのカメラワークがなかなかひどい。恐らくだけど、今までのそういうシーンはどれも比較的引きの画が多かったのに対し、今回は演者にやたら寄って撮ってしまったばかりに、どうしても動きが後追いで追従する形になり見にくさも加わってしまったのかも。全体的に今まであったような真似したくなるシーン(ex. 空中キック、弾避け、カンフー決めポーズ、鉄パイプキック)もなく薄かった。キアヌ・リーブスは『ジョン・ウィック』もしていて現役バリバリなのに、今回アクションの半分くらいはチートな"波動"濫用で、弾丸止めとかもまったく胸アツじゃなかった。とにかく手を前に出しておけばいい!
期待と不安入り交じる新作……例えば『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』や『デューン』は期待だけだった。正直、高まっていなかった。…が、今月入った頃くらいからだろうか、ここ1週間くらいで気持ちが高まってきて、前3作も見直して迎えた最速上映当日。率直な感想としては、キツっ…!蓋を開けてみたら、見る前のあれこれ調べたり想像膨らませたりして楽しみにしてたとき、その期間が1番楽しかった。冒頭からの自意識的なセルフパロディは好き嫌い分かれそう。まず何より寒々しく汚れた実景によるマトリックスの街並みは、現実味のないCGに取って代わられた(前作最後の続きであったとしても)。空色だけでなく、例えばネオ & モーフィアスが手合わせする道場みたいなところも顕著だろうか。バレットタイムなど懐古主義的掌返しもそこそこに匂わせながらも、そんな手の中には期待を超えるものなどなく、むしろ耐久テストか拷問かってくらい。あと『リローデッド』のときに高速道路など作ったこと考えると、今回お金かけてないのもあるのか、全体的に画が薄っぺらい。
そして声を大にして言いたいのが、あれは間違っても僕達の大好きなモーフィアスなんかじゃない(それも見れば分かるしもはや本当に別人なのかもしれない)!陽気なコメディリリーフ扱いで影も極めて薄い。ドラマ『ウォッチメン』にも出ている彼が、またもやまさかの姿になる。終盤のスミスもキャラクターの行動原理的には合っているのかもしれないけど、演じるキャストが違うこともあるのか(がんばって似せて・寄せているのは伝わる)、はたまた作品自体があれだからか燃えたりはしなかった。おまけにゾンビ映画にもなって(?)『ハプニング』からの『新感染ファイナル・ステージ』的バイク/車でのタックル。語弊を恐れずに言ってしまえば、オリジナルがこれだけポップカルチャーに浸透するほど長年愛されてきた所以と言ってもいいような持っていた長所、魅力的な部分を色々と根こそぎ失っている。総集編みたいな感じ。これじゃ一歩間違ったら最後に流れるWake Up(レイジではない)もアラームみたいに響くやも…。またいずれフラットな気持ちで見直せたら変わるのだろうか。いや、無理だろうな。
例えば従順な羊であること、ネオでなくトリニティであること、例えば空を虹で彩ること、そして例えばアクションを拒むこと。意図的セルフパロディの先にある作品のテーマ的には分かるけど、そこに共感できたとしても、純粋に見ていて面白いとどうしても思えないのだ。それはアナリストのバレットタイム講釈にしても、サティの作戦にしても、長台詞シーンが退屈の極みだし。
P.S. あと余談ですが、前3部作ではキレキレアクションと共に動きも滑らかスムーズだったのに、今回は髪型・風貌のせいか気のせいか『ビルとテッド』などに見て取れる関節の硬い感じというか独特なキアヌっぽい動きも垣間見える気がした。最後の会話とかノリも含めてモロに。
2回目見に行った(24時間以内に!IMAXポスター2枚目)、しんどすぎた……。
勝手に関連作『スター・ウォーズ』7~9
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擁護派(肯定派あるいは絶賛)の意見も分かる。分かって(いて)も、"…で?"となってしまう。アナリストやサティが延々と喋る言葉もストレッサー or 睡眠導入剤以外の何物でもなくて、右から左へと流れていってしまう。いいから早く終わってくれと願ってしまう。もしかするとラナ・ウォシャウスキーからするとそれも織り込み済みのふるいにかけているようなもので、そこでリタイアするような者はイーロン・マスクやトランプ娘と一緒で、見なくて結構って強気な姿勢なのかもしれないけど。そういった連中による二次創作、三次創作の出汁に使われて意図しない形で広がったことに嫌気が差して、取り戻すように創造主自らメタにするのも良い。…良いのだけだけど、やっぱりこれもつまらない。
そりゃ込められたメッセージに同意できたり目見開かされるような思いで、表現として好きになりたいものでも、単純につまならなかったらキツイだろう。アクションや映像革新を意図的に捨て去るのと、キマらない画を撮って長々タラタラと見せるのは同義じゃないだろう。もし、それも前3部作の表層を掬い取って作り手としては不本意な形で利用=悪用するトランプといった連中を楽しませないためなのだとしたら、それも気持ちは分かる。頭で。だけどやっぱり心がついていかないのだ、素直に面白いと思えない。意味ある一撃も届かなくなってしまう。尖りすぎていたというべきだろうか。わざと分かりやすく燃えない方へと方へと舵を切っているとしても、見える人には燃える仕様。
褒めている人たちの中には遥かに詳細に読み解き、しっかりと解釈している人もいるだろう。だけど例えその人からどれだけ説明されようと、好きになりたくても、きっとどうしたって好きになれないんだろうなと思う案件。