「一歩間違えると極端な悪作になりかねないが…」ドリームプラン yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
一歩間違えると極端な悪作になりかねないが…
今年50本目(合計323本目/今月(2022年2月度)22本目)。
史実を元にしているので(ラストあたり、当時の動画が流れる)、あることないこと書けない状況です。
テニスをテーマにしているというのは、ネタバレでも何でもないはずです。
問題は結局のところ他の方も書かれている通り、「父親の取った「ドリームプラン」が極端すぎる」ため、一歩間違えると親権濫用と思われても仕方がなく、本作品では「結果的に」サクセスストーリーになっただけであり、本映画をみて「素人が」「じゃ、うちの息子・娘も同じようにしつけるか」となると、日本基準では「親権の濫用」で一発レッドかイエローか…というところです(暴力的シーンはないものの、思想の強制が極端にひどいため、日本のように領土の狭い国では「お隣で変な喧嘩を毎日やってる」と行政に相談されると、それまで)。
一方で、テニスを扱う映画であるため、その内容自体は史実通りで字幕なども極めて正確ですが(テニスプレイヤーの伊達公子さんも監修されていますので、きわめて正確)、何でも良いのでテニスの最低限のルールを理解しないとセリフの一部が理解不能になります。またその上で、当時の人種差別問題や男女同権思想といった問題が二重三重に隠れているのであり、これを全部把握したのが「ドリームプラン」といえばそりゃそうですが、日本ではなじみがないので(=男女同権思想も、日本は不完全で、「正しい意味での」男女同権思想(フェミニズム思想)も、完全に達成はされていない)、かなり見かけに反して難易度の高い映画です。
結局のところ、他の方も書かれているように「これをサクセスストーリーと解して、日本で同じことをやると一発レッドかイエローが飛んできかねない」のであり、また現在の日本(2021~2022)と当時(主人公らがまだジュニア選手権で戦っていたころ)では「親権に関する考え方」も違うので(時代も違えば国も違う)、「じゃ、真似してうちの息子・娘にやろうか」と思い始める人が出てくると、こりゃこれで危険かなぁ…というところはあります。とはいえ、あることないこと書けないので、ここの減点幅はかなり微妙です。
また、この「ドリームプラン」も、中にはチェスがどうだの数学がどうだのという話まで出てくるので(数学の話は出るだけだが、チェスの話は深くはないが掘り下げられる)、一体「何の趣旨の映画か?」というのが微妙かな…というところです。
とはいえ、普通にみれば「(結果的に成功した)サクセスストーリー」「男女同権思想・人種差別反対思想」と見るのが妥当であり、その点に対する配慮は「一応はある」ので、まぁ評価は難しいです。
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(減点0.2) 結局、上記で述べているところが大半にあり、「じゃ、うちの息子・娘に同じ思想で挑もうか」となれば日本の現在の人権思想ではアウトであり、その配慮は明確に足りないのでは…と思えます。。
(減点0.1) これも他の方も指摘されていましたが、日本では「ドリームプラン」(Dream Plan)「夢をかなえるための計画」、程度)ですが、海外版の現タイトルは全く異なり、原作の原題からは「ドリームプラン」の「ド」の字も出てこないので(結果的に、この成功した父親を称賛するといえるタイトルになっている)、ここも(日本で公開するときを考えたとき)どうなのか…というところです。
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ただ、何にせよ、テニスに関してはごく最低限のルールを知らないと本当に理解不能に陥るので、youtubeでもニコニコ動画でも良いので「ルールの基礎」くらいは把握しておくのは必至かな、と思えます。