「抑圧者と救世主」DUNE デューン 砂の惑星 sankouさんの映画レビュー(感想・評価)
抑圧者と救世主
砂の惑星アラキスは貴重な香料資源の唯一の供給源であるため、ハルコンネン家は砂漠の民フレメンを抑圧しながら香料の採掘を独占していた。
しかし皇帝の権限によりハルコンネン家はアラキスを去り、代わりにアトレイデス家がアラキスの管理権を引き受ける。
アトレイデス家のレト公爵はフレメンに対して圧政を強いるのではなく、協力関係を結ぼうとする。
アトレイデス家の後継者であるポールは、夢による未来予知が出来るという特殊能力を持っていた。
それは彼の母親であるレディの影響もあるのかもしれない。彼女は帝国の政治にも関与する秘密結社ベネ・ゲゼリットのメンバーでもあり、彼女にも言葉で人を意のままに操ることが出来るという特殊能力があった。
ベネ・ゲセリットはフレメン側にポールは救世主であると吹き込む。フレメンはずっと救世主の存在を待ちわびていたのだ。
ともかくフレメンにとってもアトレイデス家との共存は決して悪い話ではなかった。
しかし実は帝国側は強大な軍事力を持ちすぎたアトレイデス家を滅ぼそうと企んでおり、ハルコンネン家をバックアップしながらアラキスの採掘基地に一斉に攻撃を仕掛けた。
レトは命を落とし、ポールとレディも砂漠へと逃れていく。
ポールが見ている白日夢のシーンが何度も描かれるが、それはこれから起こることの予知夢でもあり、ポールだけでなく観客もこれから起こるであろうことを知ってしまうことになる。
果たしてそれは確定的な未来なのだろうか。そうするとポールはどこかで命を落とすことになってしまうのだが。
フレメンの中にはポールのことを偽の救世主であると指摘する者も多いが、ポール自身は真の救世主になろうとしている。
果たして彼は運命を変えることが出来るのだろうか。
パート1となる今作品では逃げるだけで精一杯だったポールだが、次回作以降では救世主としてフレメンを導く姿が描かれるのだろうか。
確かにスケールは壮大で哲学的なテーマを持った作品であることは間違いない。
ホドロフスキーが映画化を断念し、デヴィッド・リンチが引き継ぐものの興行的に大失敗をした過去があるように、確かに一筋縄ではいかない作品だと思った。
単に映像の迫力だけで魅せられる作品でもないと思った。
個人的にはとにかく暗いという印象が残った。
あの『スターウォーズ』にもこの作品は影響を与えたと言われているが、あちらもダークサイドな一面はあるものの、愛嬌のあるキャラクターが多く一般的に受け入れられやすい世界観だと感じた。
こちらはとにかくダークな面ばかり目立ち、正直コアなSFファン以外にはあまりヒットしない世界観かなと思った。
砂の中を突き進むサンドワームの脅威はかなり迫力があって見応え十分だったが。
これだけ技術が発展している世界なのに、剣を使って戦う戦士たちの姿は何だかおかしかった。
そこまでドハマりはしなかったが、続編は必ず観ようと思った。