「満を持してやってきたSF大作」DUNE デューン 砂の惑星 andhyphenさんの映画レビュー(感想・評価)
満を持してやってきたSF大作
アレハンドロ・ホドロフスキーが挫折し、デヴィッド・リンチがズタズタにされてしまったあまりにも曰く付きの「DUNE」。この度はドゥニ・ヴィルヌーヴ監督でリベンジ(?)。
原作を読んでから観るつもりでしたが、早川から出ている新訳版が3冊あったので積読にしてとりあえず観に行きました。
謎の用語が頻出するので、全部理解するには、恐らく原作を3回くらい読まないと厳しそう。
それでも初心者を置いてけぼりにするような作りにはなっていない。個人的には割と親切設計だと感じました。
筋は…敢えてぶった斬ってしまえば「救世主」(に生まれついたのか仕立てられたのかはわからんが)のティモシー・シャラメが、帝国だのハルコンネン家だのとの「メランジ」とそれを産む惑星「アラキス」を巡る争いに放り込まれて、そこに砂漠の民「フレメン」が絡んでくる、というところでしょうか…。
物語は関係性と用語が複雑なだけで割と古典的といえば古典的(観ているかぎり)。帝国だのなんだのってスター・ウォーズ…?とも思うけどよく考えたら「DUNE」の原作が先なのだから、SFの王道なんだろうなと。
そして、この映画を支えるのはやはり圧倒的な映像と音響。初めて「ああこりゃIMAXで観るべきだね」と実感できました。まあ本来の画角で観られる映画館、日本に2館しかないんですけども…しかもさ、場面によって画角変えてるんですよね。あの表現、フルIMAXじゃないと分からないので、果たしてそれは効果として良かったのかは悩みどころ。
物語の展開としてはやや遅い、という感想もいくつか拝見したものの、好みの問題かなあというところもあり。元々の話が長大なのと(ホドロフスキー構想では10時間超えだったらしいし)、ドゥニ・ヴィルヌーヴという監督はテンポ感というよりは割と重厚な(というか執拗な)描き方をするイメージなので、これくらいの展開になるのだろうな、と。「ブレードランナー2049」も長かったよね…。
キャストは皆良い演技してたと思います。過剰な表現がなくて、皆味があって。でもハビエル・バルデムってどこに出てたっけと最後までちょっと考えてしまった。オスカー・アイザックの父親が抑制が効いてて良かったです。ちなみにオスカー・アイザックもジェイソン・モモアも三船敏郎の影響について語っていたそうで、なんとなく納得できるものがありました。
ティモシー・シャラメは相変わらず悩める美しい少年ぽいのが似合うね。あと散々カットが挟まって、最後の最後でやっと登場するゼンデイヤさんですが、見せ場は後編にあるのでしょうか。
個人的にはジェイソン・モモアとチャン・チェンの出番をもっと…!と思いました(個人的に好きだからというどうでも良い理由ですが)。
全米で大ヒットを記録してめでたくpart twoも決まったということなので、それまでに原作を読もうと思います。