劇場公開日 2020年6月12日

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「ホーンビィ原作モノならではの妙味が詰まった快作」15年後のラブソング ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ホーンビィ原作モノならではの妙味が詰まった快作

2020年6月30日
PCから投稿

作家のみならず、今や脚本家としても名をはせるニック・ホーンビィ。今回の映画は彼の原作モノ(脚本ではない)だが、そもそもこの小説の発表が、新たな転機となった映画『17歳の肖像』(こちらはホーンビィ脚色)の公開と同年だったことを考えると、ともにヒロインが自ら人生を切り開こうとする両作は双子のような関係に思えなくもない。加えて本作は、音楽を愛しすぎる男が登場する『ハイ・フィデリティ』の香りも併せ持ち、つまり、過去のホーンビィ・ワールドがギュッと凝縮された成分表になっている。

映像化によって結実した触感がとても快い。役者陣が織り成す力んだところのない軽やかさが何とも言えないし、幻のミュージシャンという役柄を自然体で成立させたイーサン・ホークも最高だ。製作はジャド・アパトー。『2番目のキス』のファレリー兄弟といい、ホーンビィ作品はやや大胆すぎるくらいの舵取りができる人の方が相性いいのかもしれない。

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牛津厚信