「作らない方が良かったんじゃ……」劇場版シグナル 長期未解決事件捜査班 Scottさんの映画レビュー(感想・評価)
作らない方が良かったんじゃ……
脚本がひどいの。もう笑うしかないぐらいひどいの。
後半は台詞の全てが説明台詞だからね。
ミステリー要素がある作品だから「これが、ああして、こうなって」って筋を作ると思うんだけど、その筋をそのまま登場人物がしゃべってる感じなのね。そこを工夫してくんじゃないのか。
テレビドラマ版はすごく面白かったのに。
テレビドラマは、韓国原作のドラマをけっこう忠実になぞったんだよね。でも、そこに工夫を入れて、原作を超えるシーンもあって良かったの。
映画は、完全オリジナルだね。そこがひどくなった原因なのかも。
「日本の脚本家は、韓国の脚本家にボロ負けしちゃうんだ」と寂しかったな。
まあでも、観ててそのうち「これ、脚本のせいだけじゃないな」と思うの。
原作は「過去と無線がつながる」というトンデモ設定はあるけど、それ以外は、親子の情、兄弟の情、恋愛と情愛を細かく描いてるいい話だったんだよね。
でも、この映画は、そいういう要素はほぼなしで、代わりにアクションを入れてきたの。
企画会議で「警察もの映画なんだから、派手なアクションなきゃ、誰も観てくれないよ」みたいなのがあったのかな。あるいは「感情を細かく描く作品に、アクションを加えたら、こりゃ間違いなくすごい作品になるっしょ」って誰か言ったのか。
そんなことあるわけないよね。
それで感情を描くところは全滅して説明台詞に代わり、そうまでして入れたアクションもしょぼくて盛り上がらない。主人公が電飾にぶら下がって逃げて、敵のバイク二台がぶつかるところとか「はあ? こいつらトンデモない間抜けなの?」と思ったね。
これだけ根っこがひどかったら、細かな点はもうどうでもいいけど、やっぱりひどい。
坂口健太郎が公安部長殺しの犯人にされるんだけど、そこで警官十数人に囲まれて、逃げ切るのね。十数人で一人を捕まえられない警察ってダメでしょ。しかも包囲してるんだから、逆方向の入り口押さえとけよ。
そして逃げ場がなくなった健太郎は奈緒のところへいきました。奈緒が突然、自分の事情をダラダラと喋り始め「二度目に合った人に全部言わないね普通」と思っていると、訪問者が。
殺し屋みたいな人が来て、奈緒が「逃げて!」って健太郎を逃して殺されるんだけど、これ、奈緒を連れて逃げるでしょ。なに一人で逃げてんの。
逃げる健太郎を拳銃で撃とうとした殺し屋風情は『ここではまずい』みたいに止められるんだけど、その後オートバイで健太郎を追いかけて、街なかの大勢の前でバンバン撃つからね。むしろ、マンションで撃った方が人目が少ないよ。
助けにきた吉瀬美智子にひろわれて「(奈緒が死んだのは)僕のせいだ」って、誰がどうみてもお前のせいだね。
テレビドラマ版でも「僕のせいだ」ってやるんだけど、それは、過去で誰かを救ったために、現在の違う人に被害が出るんだよね。だから見てる方が「これは、君のせいとも言い切れないと思うよ」ってなるんだけど、奈緒が死んだのは完全に健太郎のせい。
吉瀬美智子は、健太郎に頼まれて、無線機で北村一輝とお話。「先輩……」って恋仲モードを出してくんだけど、ドラマ版で一回話してるから。そこまで取り乱さないよ。
そんなこんながあって、吉瀬美智子チームが内閣官房長官の護衛をするんだけど、健太郎それに参加すんの。逮捕しろよ、公安部長殺しの容疑は晴れてないんだから。
それで相手はスプリンクラーから毒ガス散布しようとし、健太郎が「20階から入れますね」って一人で行くんだけど、応援呼べって。日本映画の刑事ものの悪いクセだけど応援呼ばないんだよ。「事件は現場で起きてるんだ」って言って一人で突っ込んで大怪我した奴のせいだと思うな。
ここで、この映画からか付与された「健太郎は格闘もすげえぜ」という設定で戦うんだけどアクションしょぼい。
相手に拳銃とられて絶体絶命!というところで回想が入り「実は、拳銃の弾は抜いてました!」って、いらないよね、そんな小ネタ。そして得た攻撃の機会で、床に漏らしたオイルを敵の顔に塗りつけるって、子供の喧嘩?
これで、悪事は防いだぜ!と思ったら最後の敵が館内放送で出てきて「どこにいるんだ?」となり
「教会はありますか?」
「結婚式場があるから」
「そうか、あの背景はパイプオルガンだ」
「25階だ」
と見た瞬間に誰でも解るようなことを、キレ者 健太郎が見抜いた感だしてくんだけど、健太郎がキレ者なんじゃなくて、他がマヌケなだけだよね。
そしてまた一人。犯人と一対一で色々と言い合うんだけど、もう唖然としながら見てるから、そんなに頭に入らない。
「駄目だ止められなかった!」と思ったら止めましたってことになって。その仕掛け自体はまあまあと思ったな。でも、ここで池田鉄洋に取って付けたようにハッカー設定があるのね。そいつただの鑑識だから。コンピューター強くないから。
吉瀬美智子が、黒幕なのに守られた官房長官に向かって「これで終わりと思わないでください」と、「続編はありますよ」って感じで言うんだけど、ないなあ、この脚本じゃ。
さて現代の事件は終わったので、過去の北村一輝を救おうと。無線で殺される日を教えて、その日に吉瀬美智子に犯人を押さえてもらって殺されずに済みましたと。テレビドラマで一回やったシーケンスだね。違うやり方を捻り出しなよ。
ここからも超絶おかしくて、目覚めた健太郎が「記憶が変わってる」ってやって、吉瀬美智子に「北村一輝は生きています」って言うと、「◯◯署にいるのを確認した」って言うの。
吉瀬美智子が北村一輝殺しを防いだから、吉瀬美智子と北村一輝は同じ世界線を生きてんだよ。だから、吉瀬美智子は北村一輝とずっと会ってるはずなの。なんなら結婚しててもおかしくないの。別れたとしても記憶はあるはずなの。それを「確認した」って展開はおかしいよね。
そして「会える!」と思ったら消えましたってのは、まあいいや。なんらかの事情でまた過去が変わったのかも知れないしね。しかし、続編はまずないから、ここで出会って大団円でも良かったと思うよ。
ちしゃくんさん、コメントありがとうございました。
1話目は特に良いですね。「韓国原作を超える」というスタッフの気合を感じます。
スペシャルドラマをまだ観ていないので、みなさんのレビューやコメントを読んで、観てみようと思いました。
スペシャル版見てからの映画。ドラマ版どうだったっけ?と先程、1話目を再視聴し、驚くほどのの緊迫感と、健人やメンバーの正義を貫く圧に、またまた全編見直してしまいそうです。ドラマ版は、そうなんです、切なさがたまらないんですよね。この映画をきっかけにドラマ再評価されたら良いな!
ラテックスさんコメントありがとうございました。
「過去を変えることに加担した人だけ、変更前と変更後の記憶を持っている」という設定なんだと思います。
この映画は、どんな設定なのか深く考えずに作ったのかも知れません。
すなぎもさん、コメントありがとうございました。
テレビドラマは日本のドラマらしからぬレベルの高さだったのに、映画になったら日本映画の悪い面が出る作品になっていて残念でした。
皆さんツッコミありがとうございます。
私もほとんど同じ所で(心の中で)ツッコミを入れていました。
「記憶が変わってる」っていう所はドラマ版から『は?』ってなってした。過去と記憶についてはもう読み解かなくていいかなと思ってしまいます。
また、最後は続編感を出していましたがハッピーエンドで終わらせるのに私は賛成です。
コメント失礼します
ツッコミどころホントそれです☝️
連ドラでは肉体派ではなかった三枝が……長所はそこじゃないのに
奈緒のマンションベランダから銃撃止めてからの街中での襲撃の流れ。ツッコまざる得ない😁😁
あと気になったのは奈緒の家を何で知ってるの?
体拭いた後の三枝の台詞『ごめん』って付き合ってるのか?
しかも色違いのコーヒーカップ都合よくあるし……と
ストーリー展開上、都合よく作られるのはよくあることだけど今作品のツッコミどころは無理矢理すぎる
好きなドラマだけにより残念でした😅