「光の美しさ」モロッコ、彼女たちの朝 コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)
光の美しさ
夫を事故で亡くし苦労をしてきた女性が、行くあてのない妊婦を見過ごせず手を差し伸べる姿が眩しい。
まるでフェルメールの絵画や、キリスト教・ユダヤ教の宗教画にも通じるような色や構図があちこちに。
パンを焼いたり、身体を洗ったり、赤ん坊へ授乳したりといったシーンで、空気に混じる僅かな埃すらカメラで捉えた「光」の美しさが魅力でした。
背景にはイスラム文化圏であってもフェミニズムが台頭し、一夫多妻制が制限され女性の権利が認められてきたモロッコながら。
最大の商業都市カサブランカでさえ、未だ旧市街に暮らす人々には女性への偏見と差別が根強く残り、また宗教をベースとした法で未婚女性の妊娠や中絶が認められていない現実があるからで。
そのあたりの背景を事前にある程度学んでから観ないと、日本の人には全くぴんと来ず、淡々と2人の女性の会話が続くだけの作品にしか思えないんじゃないかと。
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