劇場公開日 2021年8月13日

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モロッコ、彼女たちの朝のレビュー・感想・評価

全60件中、1~20件目を表示

5.0エネルギッシュなモロッコの街角が映される。しかし、物語は静かな家の...

2021年10月30日
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鑑賞方法:映画館

エネルギッシュなモロッコの街角が映される。しかし、物語は静かな家の中で進行していく。未婚の妊娠女性、サミアを助けたシングルマザー、アブラとその娘。三人の連帯を軸に、生活を通して尊厳を取り戻していこうとする女性の姿を美しい映像で捉えている。
この映画の生活感が抜群に良い。本当にこういう生活があるのだろうという、強い説得力がある。パン屋を営むアブラをサミアが手伝うようになる。キッチンで交わされる豊かなやり取り。家庭生活の中に、これだけの豊かなドラマがあるのだとこの映画は教えてくれる。
未婚の母がタブーの文化の中でサミアは、社会に認められない存在だ。そんな彼女を夫が死んで社会との関わりを極力なくそうとしているかのように暮らすシングルマザーが抱きとめる。社会に弾かれた者たちの連帯の美しさは、社会の残酷さと表裏一体。彼女たちが自由になれる日はいつのことだろうか。

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杉本穂高

4.0抑制の効いた端正な女性映画

2021年8月12日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

知的

まず目を引くのは、衣装やインテリアの配色、自然光、そして構図を繊細にコントロールした滋味豊かな映像で、フェルメールの「牛乳を注ぐ女」やミレーの「糸を紡ぐ少女」といったバロック期の絵画を想起させるショットがたびたび登場する。モロッコ出身の女性で、短編の監督や脚本家、女優としてキャリアを築き、これが長編デビュー作となるマルヤム・トゥザニ監督は、フェルメールなどの絵画に影響を受けたと公言しているが、ポーランド出身の撮影監督ヴィルジニー・スルデージュ(「代表作「シリアにて」)の貢献も大きい。

男女格差が制度化されたイスラム圏のモロッコでは、妊娠中絶が法律で認められておらず、未婚の母は忌み嫌われる存在だという。トゥザニ監督は、かつて両親が面識のない未婚の妊婦を迎え入れて世話をした実体験をもとに、ストーリーを紡ぎあげた。

説明過多になりがちな邦画に慣れていると、あるいは情報が足りないと感じるかもしれない。サミアが未婚の母になった経緯は明かされない。彼女を受け入れるアブラが夫を失った事情は後半に彼女の口から語られるが、葬儀にまつわる話などは、イスラム社会の知識がないと単に理不尽な扱いのように聞こえそうだ。それでも敢えて説明を抑えているのは、観客のリテラシーを信じているからだろう。

望まない妊娠と出産という点で辻村深月原作・河瀬直美監督の「朝が来る」に、イスラム社会の男女格差がテーマになっている点でトルコの村の5人姉妹を描いた「裸足の季節」に通じる。これらの映画が好きな人なら、きっと本作も気に入るはずだ。

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高森 郁哉

4.0じわりと感じる温もりと希望

2021年8月12日
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小さく、ささやかな映画ではあるけれど、焼き立てのパンみたいな温もりがある。最初に出会った時は心が擦り切れたみたいに険しい顔をしていたヒロインたち。しかし少しずつ絆が深まるにつれて柔和さを取り戻していく。その変化していく表情や関係性を見ているだけで、二人の歩んできた道のりが自ずと伝わってくるかのようだ。ここにはアラブ世界特有の文化や慣習があり、彼女たちは「女性はこうすべきもの」という抑圧に苦しんでいる。だが本作はそういった過去、あるいは現在を描きつつも、そこから先の未来へつなぐ灯火を感じさせる。小麦粉を混ぜて一つ一つ形を整えて焼き上げていくパンは希望の糧。そこから無数の笑顔が生まれる。一人娘も屈託のない表情でその場を明るくする。日に日に膨らみを増すお腹にも大きな未来が育っている。この小さな家、小さなパン屋から何かが始まっていく。ささやかだけれど力強い明日への希望がここには宿っている気がした。

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牛津厚信

4.0彷徨い隠れるおんな達

2025年5月17日
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鑑賞方法:VOD

悲しい

幸せ

癒される

カメラが圧倒的に美しく、まるで絵画を観ているみたいでした。あるカットがフェルメールの“牛乳を注ぐ女”に似ていたのですが、何と言うんですかね。月並みですが、女性の撮り方が神々しいです。

モロッコ社会で蔑まれる存在であるサミアが、カサブランカの街を彷徨い、助けを求めてかろうじて応じてくれたのがアブラです。夫を亡くしたアブラもまたモロッコの街に隠れる様に暮らしていました。世代の違うふたりは、教え教えられ助け助けられ、次第に友情が芽生えていきます。

でも、シングルマザーはモロッコでは生活保護や母子手当て等の社会保障はきっとないですよね?モロッコはイスラム圏ですが旧宗主国はフランスです。社会制度にフランスの影響はなかったのかな。日本に住んでいても常日頃思いますが、社会が出産や育児の偉大さを安く見積もりすぎているのは、出産をしない男性が意思決定するポジションにいるからなんですかね。前向きに考えると少しずつ良くはなっていますが。

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ミカ

5.0アブラの娘の名前がワルダ。「ママの好きな歌手名前よ」

2024年6月3日
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鑑賞方法:VOD
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マサシ

3.5モロッコ

2023年10月3日
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鑑賞方法:映画館

モロッコが舞台で、行き場のない妊婦とパン屋を営む女性の事実に基づく話です。

パン屋の女性は『青いカフタンの仕立て屋』に出てた女優さんで『灼熱の魂』にも出てます。

この人、演技うまい!!

自分は男ですが、子供を産む女性の気持ち、母親の愛、いろいろ考えさせられます…

多くの人に観てほしい作品です。

途中すこしダレたかな?って感じしますが面白いし観る価値あります。

迷ったら観てみて下さい。

モロッコ料理が美味しそうで食べたくなります(笑)

3.5と4の間で、4寄りの厳しめ3.5です。

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RAIN DOG

3.0「女三人」の美しい一本

2023年3月14日
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お互いに苦労をしている者同士、サミアとアブラとの、パンづくりを通じた心の交流がとても温かいのですが…。
しかし、二人の間を、まるで「潤滑油」のように媒介しているワルダ(アブラの一人娘)の存在も小さくはありません。
邦題の「彼女たち」は、サミアとアブラを指すのかも知れませんが、評論子は、ワルダも含まれると解釈しました。「女三人の物語」というべきでしょう。本作は。

意図的にか、原色を排して、画面が絵画的に美しいことも、特筆に値すると思います。

観終わって、良い映画であったとも思います。

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talkie

4.0女の権利は限られてる

2022年9月1日
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アブラは確かにエネルギッシュでタフに生きており、娘に勉強をうるさく言っているのも生きて行く術として身につけさせようとしていたのか。一方サミアはよく分からない、その状況でどうしたいのだ?一回出た後の関係性の逆転にはビックリしたが。最後もどうなったのかは分からないままで終わったが、女性が生きて行く、いや人が生きていくという事は大変だけど守る者がいると強く生きていける、かな?

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GAB I

2.5じんわり過ぎる

2022年7月28日
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鑑賞方法:DVD/BD

薄暗い情景と淡々として静かな進行とで、じんわりと心に染みこむ・・・けど、もう少しセリフがあっても良いのでは?
伝わってくるものはあったけど、こんなに物語に起伏なく静かな映画で100分とは・・・
こんな映画もあるんだね。

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Jo

4.0まず面白かったのは見慣れないモロッコの街や日常生活。ルジザやムスン...

2022年5月10日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

まず面白かったのは見慣れないモロッコの街や日常生活。ルジザやムスンメンなどのパンケーキやお祭りのお菓子も初めてみるものばかりで興味津々。
そして物語を紡いでいくアブラとサミア、二人の女性がとても魅力的。言葉は少なくても、意志の強さと優しさがしっかりと伝わってきて、二人の不思議な世界に引き込まれていった。
終盤は切ないが、温かい気持ちの残る素敵な映画だった。

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tsumumiki

3.0 臨月のサミアが職を探してカサブランカの街を彷徨う。当然見つかるわ...

2022年5月3日
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 臨月のサミアが職を探してカサブランカの街を彷徨う。当然見つかるわけもなく野宿しようとするが、見かねたパン屋を営むアブラが招き入れる。一晩のつもりが結局は出産するまで住まわせることに。サミアもパンを焼いたりして働く。
 パン作りを手伝うことを許したり、家事を手伝わせたりするアブラだけれど、心を開くことはないのだが、娘はサミアと仲良くなり、母と娘2人の生活の中に新たな空気が生まれてくる。そのことに戸惑うアブラだが、だんだんとアブラの表情も変わってくる。日々の生活に追われ、忙しく過ごしていた毎日にアブラ自身も笑顔が増え、お化粧をしたり,若いサミアによって自分が女であることを思い出したように。
 イスラムでの女性の立場、アブラのダンナさんのお葬式の話やサミアが語る未婚の子供に対する世間の見方など、差別を考えさせられる内容。
 朝起きたら一緒にセンターに行こうとアブラはサミアに話していたのに、サミアは1人で出て行ってしまった。そこのサミアの心の内がもう少し描かれていればよかった。

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アンディぴっと

4.0母の誕生

2022年4月27日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

カサブランカの路地で仕事を探している、臨月を迎えた妊婦が主人公。
ある母娘が可哀そうに思い、泊めてあげる。
母はパンを焼いて売っており、娘は優しくて明るい女の子だ。
未婚の母になる主人公は過去を語らず、生まれたら養子に出すつもりだという。
とても好きなタイプの映画で、ラストの余韻も楽しんだ。

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いやよセブン

4.0それぞれ前に進まなきゃ

2022年4月2日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

未婚の母への視線が厳しいモロッコ社会で、サミアに手を差し伸べるアブラ。雰囲気といい、アブラはどこか赤毛のアンのマリラを思い出させるキャラクター。頑なで、心を閉ざしてる。
麺のように伸ばして作る手間のかかるパンを、サミアが器用に作る。アブラとサミアが作って売るパンが珍しく新鮮で、モロッコの風俗をうかがえるのは楽しい。
でも、現実は重い。重いけど、それぞれ前に進んでいく。寄り添ったり笑顔をもらったり刺激をうけたりしながら。

異国の風俗が伝わってくる映画が好きなので楽しめました。楽しいばかりではないけれど。

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ターコイズ

4.0静かに…流れる毎日…

2022年3月21日
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静かな映画。

世界中どこにでもある日常と、世界中にあるれている優しさの映画。

あの後、ハッピーエンドになればいいなぁ…と、思いながらも、ビターエンドかも…

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みけ

4.0モロッコに行きたくなる❗

2022年2月5日
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訳あり妊婦が主役の、日本でもあるある話。僕は男なんで母性という感情は理解できないが、分からないなりに理解させてくれる作品。女性の心理的変化を絶妙に表現していたと思います。最後をもう少し工夫して欲しかった😒

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ろくさん

4.5アルバは心を開かせてもらった。

2022年1月26日
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鑑賞方法:DVD/BD
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Socialjustice

3.5本当の強さとは何か

2021年12月20日
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未婚の妊婦サミア、未亡人で神経症気質のアブラ、そしてその娘。女性の社会的平等がないイスラム教のモロッコで相互扶助によって力強く生きている。妊娠中で仕事と居場所の無いサミアは寝る場所と仕事を得た。アブラはサミアによって心の緊張が解けて、神経症が改善していった。アブラの娘はサミアがあることで楽しい時間が増えた。自分の周りにいる人を見ていても思うが、男が女から学ぶべき大事な事は相互扶助の精神だとおもう。女性は困った時に助け合っている。男にもこの素質があればもっと平和な社会になるだろう。この映画は妊婦が出産するシーンも含まれている。ラストには未婚の妊婦が命にどう向き合うかという大きな問いが残されていた。

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bluecinema

3.5She's Leaving Home (After she found her LIFE)

2021年10月24日
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bloodtrail

3.5イスラム社会の問題点

2021年10月24日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

臨月で大きなお腹のサミアはモロッコ・カサブランカの路地で仕事と寝る所を探していた。イスラム社会では未婚の母はタブーなため、勤めていた美容師の仕事と住居も失ってしまったため。ある日、小さなパン屋を経営してるアブラと出会い、彼女の家に泊めてもらえる事になった。アブラは夫を事故で亡くし、幼い娘を育てるために言い寄る男にも心を開かず黙々と働いていた。パン作りが得意なサミアはアブラの仕事を手伝い、出産し・・・という話。
妊娠した経緯はわからないが、冷たい対応の周りの人々にちょっと驚いた。サミアの明るさでアブラや娘が明るくなっていく様子が見所かな。
やはりイスラム社会では女性に対する扱いが酷いと思った。
サミア役のニスリン・エラディが美しかった。

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りあの

3.5後から思い起こすことの多い作品

2021年10月23日
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アツコ
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