劇場公開日 2020年6月19日

  • 予告編を見る

「世の友われらを棄て去るときも」いつくしみふかき はるたろうさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0世の友われらを棄て去るときも

2020年7月31日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

親父がろくでなしすぎる!
そして人でなしすぎる!
一方息子の進一は過保護の母親のせいで30にもなってママの膝枕。超甘ったれのすねかじり。
前半は進一のふてこさにイライラ。

進一を演じた遠山雄さんはじめ劇団の方を中心に配役されていて新鮮でした。みなさんナチュラルで良かったです。
あの胡散臭い説教のシーンめっちゃ笑えました。

そして渡辺いっけいさんと金田明夫さんのバランスの良さ!後半には「おっ!」ってキャスティングもあってその辺りも楽しめます。(眞島さんが相変わらず素敵です)

軽い話ではないですが見やすくて展開がいい。
ちょこちょこ笑えてちょこちょこ泣ける。
父、母、息子。それぞれの30年。
時を経て再会する父と息子。父と母。
埋まらない距離。許せない思い。でも憎みきれない歯がゆさ。

父子は父子。どれだけ罵り合ってもやっぱり血で繋がっている。

終盤。進一の姿にどこか安心する。
不本意に故郷を出たけど、結果それで良かった。
坂道に苦戦しながらも自らの力で踏み進めて行く進一と、自ら作った魔のループから抜け出せなかった親父。

「ここからは歩きます」 真っ直ぐ伸びる田舎道。タテタカコさんの美しい歌声に乗せて新しい時間が、今、動き出す。
目を閉じたら思い浮かぶような素敵なラストシーンでした。

はるたろう