「お披露目作品としてはこんなところか…」モービウス おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
お披露目作品としてはこんなところか…
迫力ある予告とマーベル作品ということで、楽しみにしていた本作。迷わず公開初日にIMAXで鑑賞してきました。期待どおり、視界いっぱいに繰り広げられるハイスピードバトルを堪能できました。もはやどうやって撮影しているかわかりませんが、高速移動の中で、時折スローモーションを入れたり、モービウスがビースト化したり人間に戻ったりという映像をシームレスに差し込んだりと、メリハリのある映像表現が目を楽しませてくれました。
ストーリーは、子どもの頃から血液の病気を患い長い入院生活を送っていたマイクは、同じく入院生活を続けていた親友マイロの病気を治すために医学博士となり、コウモリの血清を用いる治療法を発見し、それを自分自身に試したところ、身体能力が超人的に向上したものの、吸血衝動に駆られるという思わぬ副作用に苦しむことになり、自身が意識を失っている間に世間では謎の失血状態での死体がいくつも見つかり…というもの。
スパイダーマンの敵役モービウスのお披露目作品なので、ストーリーはいたってシンプルで、それほど捻った展開はありません。むしろモービウスのビースト化までは少々退屈で眠気に襲われるほどでした。丁寧な説明は悪くないですが、もう少し映像でも楽しませてほしかったところです。
全体的に、終始おどろおどろしい雰囲気が漂い、明らかに今までのマーベル作品とは一線を画します。ヒーローアクションものではないですし、ヴェノムのような笑えるシーンもありません。それがダメだというわけではありませんが、アクションシーン以外に心惹かれるものがなかったような感じがして、少々物足りなかったです。ラストも今ひとつスッキリしない終わり方をした後、マーベルおなじみの次作への橋渡し的映像が流れ、いよいよスパイダーマンへ繋がるようですが、さあどうなるのでしょうか。もう少しモービウスというキャラクター自体に魅力がないと、単体作品としては観客数が伸びないような気がします。というわけで、つまらなくはないですが、期待したほどではなかったかなという印象です。
主演はジャレッド・レトで、人間時とビースト時の演じ分けがすばらしく、最近の「ハウス・オブ・グッチ」出演時とは全くの別人で、役柄ごとにがらりと変えてくるところがすごいです。脇を固めるマット・スミス、アドリナ・アルホナらも、よく知らない俳優さんですが、きっちりと役割を果たしています。