劇場公開日 2021年1月22日

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「今一番ダイナミックに描写できる監督、内容まで可視化できなかったのが残念」さんかく窓の外側は夜 かわちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0今一番ダイナミックに描写できる監督、内容まで可視化できなかったのが残念

2021年2月1日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

興奮

結論から言うと、「よく分からないけど凄いものを見た」ということ。前作と180度異なる作風を我が物にした森ガキ侑大監督に脱帽。
三角は霊が見える自分に嫌悪感を覚え、目を背けるように生きてきた。そんなある日、冷川に除霊の助手を頼まれたことから、仕事を共にする。その頃、"ヒウラエリカ"と名乗る女子高生が呪いによって人を消しており…というところから始まる。本作の導入は至って普遍的なバディモノの顔をしている。と思いきや…というような形で展開していく、呪いの謎への接近。はっきり言って、中身が分かったかと言うと、NOだ。カルト宗教と過去が交錯し、3人を結ぶものがあるようだが、開かれた核ではない。これはパンフを読んで納得したという人も多いだけに、仕方はないのだろう。ただ、その表現力は間違いなく、群を抜いている。VFXを効果的に使ったシリアスな雰囲気を生み出し、意欲的に描いている。音楽もマッチし、スリリングに畳み掛けるクライマックスは食いついて観てしまう。それだけに、内容がより可視化されると良かった。ちなみに、平手友梨奈を大々的に押していたが、出番が割と少ないのが残念。だが、彼女の表現力は目を見張るものがあり、今後もスクリーンで観たくなる魔力さえ感じる。
邦画でスケールを大きく描く作品よりもダイナミックに映る本作。まだ長編は2本しか撮っていない監督だけに、たくさんの顔が見れそうな予感。「映画体験」と呼ぶに十分な説得力を持つ1本。

たいよーさん。