「B級ポップホラー」さんかく窓の外側は夜 HIRAさんの映画レビュー(感想・評価)
B級ポップホラー
予告編みて面白そうだったのでなんの前知識なしで観た。
幽霊退治ものと思ってたけど、ポップでキャッチーな呪いものだった。生きている人間の呪いはなんか特殊。陰陽師とか藁人形とか今はやりの呪術廻戦?
平たく言えば宗教。
信じるか信じないか、それ以上も以下もない。
狂信めいた怪しみの宗教団体が出てくるが、広く言えば宗教全部に当てはまる。
見えないものを信じる人達と見えないものを信じない滝藤賢一。異彩を放つ存在感。
信じない力ってすごいんだな、と思った。きっとリングの貞子にも対応できるはず。
前半はバラバラ殺人とか無差別通り魔とか怖い要素が沢山散りばめられていたけど、そんなに怖くはなかった。全部見えない呪いのせいにしたら怖くないという不思議。霊より人間が怖いという着地点は永遠に不滅なのかな。
後半はファンタジーというか懐かし世代のテレビドラマっぽいチープ、ポップな展開でビックリした。
目や耳から流れ出る呪いの汁?と赤い貯金箱の部屋の特撮っぽい触手がなんか笑えた。禍々しさはどこに行った。ホラー味ではないウルトラマン特撮っぽい雰囲気はなんなんだろうか?
主役二人の繊細な関係性も新鮮だったけど、岡田将生のサイコパス味はすぐに限界が来てた。目が優し過ぎるんだな、きっと。もっと死んだ目の俳優が良かったかも。
後で知ったがBLジャンルの漫画が原作なんだね。
ならなんか納得。線の細い役者しか出てこんはずだ。滝藤さんの役はソン・ガンホでもいいんじゃないかと思ったけど無理だな。おしゃれなマンションに住みやがるはずだ。むさい市営住宅で小太り鬼嫁と子沢山設定であって欲しかったのだけど。
本格的ホラーを期待するとちょっと微妙かもしれないが、怖くない程度のポップな感じでだったらライトに楽しめる映画と思う。今後はNetflix等でドラマ化してもいいんじゃない?でも映画としてはどうだろう?って感じ。リングがド演歌だとしたらさんかくはPerfume的な。
自分は岡田将生の事務所がドンピシャ好みだったので美術さんで星⭐一個増えた感じ。うらぶれた汚さと(でもごみひとつ落ちていない意外と清潔感ある)おしゃれとギリギリの貧乏臭い感じが好きだな。色がなくて物もない。ヴィンテージまでのおしゃれ感もない絶妙な塩梅。ザ・雑居ビルの怪しい事務所。こんなとこで働きたい。もちろん画面にイケメンが投影されている補正値は計り知れないと思うが。