「序盤はよいが…不完全燃焼」さんかく窓の外側は夜 がんばりきさんの映画レビュー(感想・評価)
序盤はよいが…不完全燃焼
平手友梨奈さんの独立後初の出演作ということで期待して行きました。
俳優陣の演技は期待通り。主演二人の絡みに平手さんの凄み、滝藤さんの渋みが合わさって豊かなハーモニーが生まれ、その面では楽しんで鑑賞できました。
問題は脚本。
序盤はサスペンスホラーの雰囲気でテンポもよく、緊張感と期待感がぐっと高まり「お、これは良作の予感」と思いました。
しかし、中盤以降のオカルト的な展開は色々と説明不足で「?」がたくさん浮かび、そのため最終的な主人公たちのカタルシスにほとんど共感を得ることができませんでした。
致命的なのは、本作の核心的ギミックであるはずの「呪い」の仕組み、そして「呪い」と主人公たちの関係の描写がおざなりだったこと。
「呪い」にまつわる主人公たちの「過去(トラウマ)」を回想するシーンはそれぞれ丁寧に描かれていましたが、それらの先にある彼らの「現在(祈り)」についてはだいぶ扱いが小さいように思いました。
この点を主人公たちが共有するプロセスがないままクライマックスに行ってしまったせいで「感動の置いてけぼり」感がありました。(重要人物の"ヒウラエリカ"に至っては「いつの間にか仲間になってる!?」レベル)
ストーリー的にも「たまたま巻き添えを食った奥さんの呪いを解く」が作中最大のイベント(主人公たちの最大の敵)というのも不足気味です。
このように「物語」として重要な要素がいくつか抜け落ちているので、「物語」というより「出来事」レベルのお話になってしまっています。
世界観やキャラクターのポテンシャルは高い原作だと思うので、脚本と構成が残念でした。