「後半をもっと丁寧に描いてくれれば…」さんかく窓の外側は夜 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
後半をもっと丁寧に描いてくれれば…
原作未読ですが、予告で興味をもって鑑賞してきました。霊が見える三角と祓い屋の冷川が、除霊をしながら呪いを利用した悪事を暴き、自身の過去と向き合っていくという感じのストーリーは、なかなか興味深かったです。主演の岡田将生くんも志尊淳くんも、それぞれの役を好演していたと思います。
まずは序盤。持って生まれた能力とそれが暗い思い出になっている三角、そんな彼の前に突然現れて除霊をして見せる冷川、そして二人のコンビ誕生と、物語の設定を端的に描いていたのはよかったです。作品世界にすんなり入り込むことができ、立ち上がりは上々でした。そこに、滝藤賢一さん演じる刑事が依頼を持ち込み、二人は特殊能力でその依頼を解決しますが、その裏にはさらに大きな陰謀があることに気づきます。展開としては悪くなく、前半はグイグイ引き込まれる感じがよかったです。
しかし、後半からが残念。事件を紐解いていくミステリーライクな過程はいいのですが、いかんせん説明が足りず、展開が雑で強引な印象を受けました。おかげで、作品が一気に大味になってしまいました。また、終盤になって、それまでの伏線を回収しながら、事件解決へと収束していく流れは悪くなかったのですが、三角と冷川の過去がことさらクローズアップされ、事件の詳細がうやむやになってしまったのはどうにも消化不良です。
他にも、(完全に無駄遣いで)北川景子さんが出演していましたが、そちらの事件はいったいどうなったのでしょうか。呪いの真相はなんだったのでしょうか。事件の首謀者はどうなったのでしょうか。疑問が残りすぎて全然スッキリしませんでした。
作品全体としては、ホラーというよりはオカルトとミステリーという感じのテイストで、それは決して悪くありません。しかし、オカルトもミステリーもどちらも中途半端に終わってしまったのはもったいなかったです。後半の脚本がもう少し丁寧に練られたら、もっとおもしろい作品になったのではないでしょうか。
ちなみに舞台挨拶ライブビューイング付き上映だったのですが、こちらもイマイチ盛り上がらず、志尊淳くんが一人がんばっていたのが気の毒なほどでした。平手友梨奈さんは、あいかわらず表情に乏しく、受け答えも素っ気なく、印象が悪かったです。まあ、ヒウラエリカ役には合っていたと思いますが…。