劇場公開日 2020年11月20日

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「ダメダメぶりが引っ張る」泣く子はいねぇが bluewaveskyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ダメダメぶりが引っ張る

2020年12月19日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

メインの仲野太賀、吉岡里帆と寛一郎がともにいい味を出しているが、4〜5年かけた秋田出身の佐藤監督らの企画のもと、男鹿の風土によるステージがもたらしたものとうかがわれる。特に激しく波打つ海を借景に情緒漂うシーンは圧巻。
仲野太賀が扮する「たすく」のダメダメぶりが、物語りを終始引っ張る。やっぱり男の主人公は出来が悪い方が感情移入しやすく、太賀には、うだつの上がらなさを演じる巧みさが感じられる。特に男性なら共感できる部分が多いのでは。
たすくの娘を育てる「ことね」を演じる吉岡里帆は福祉ドラマ、東野映画や、どんぎつねとURであーる。の印象しかなかったが、少し古めかしい役をしっとりとこなせるのを確認、収穫であった。今のエンタメ界は彼女を上手く活かしていると言い難く今後の展開を見守りたい。
また、たすくの再生を応援する友人役の寛一郎は『一度も撃ってません』以来だが、たすくと言葉を交わす際の独特の間が面白く、ロケ中での男鹿の温泉のミーティングの効果か。たすくが培った活力のマグマが源泉となり、この作品の核となるラストに向かっていく。
さらに仲野太賀の子供の時から交流のある、秋田のご当地俳優ギバちゃんが花を添えるほか(太賀の父が演じた『チョロ』が懐かしい)、母役の余貴美子のババヘラアイスなど見どころが多い。『春』と題した主題歌も効果的に作品全体をもり立てている。

bluewavesky