劇場公開日 2020年11月20日

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「泣きたいピエロは鬼の面を被る」泣く子はいねぇが プールサイドさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0泣きたいピエロは鬼の面を被る

2020年11月27日
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予告を見た時は、だらしない男が自分なりにもがき這い上がる"再生の話“だと思った。
しかし、そんな優しいモノではなかった。
太賀くん演じるたすくは一発逆転は望んでおらず、地道に+1を重ねていきたかったのに、終始0地点のまま。
この現状維持はつらい。
絶妙に格好がつかない所が笑るたすくのキャラクターと、明るさがアンダー気味の画がいい塩梅だった。

太賀くん以外のキャスト陣も良かった。
まずは吉岡さん。いい感じに表情から疲れを感じられ、主張のない素晴らしい演技でした。
余さん、山中さんはさすがですね。シリアスな役も演じられる余さんですが、今作のとぼけた感じの方が僕は好きだな。
そして個人的MVPは寛一郎くん。やはり父と祖父の血を引いてますね。雰囲気抜群で常に目が離せませんでした。海で警察に見つかった時の笑みは、父・佐藤浩一さんが重なって見えた。
今後の活躍がとても楽しみです。

柳葉さん演じるなまはげの会長が「(なまはげを)魂でやっているんだ」と言っていたように、ラストは魂を感じた。
まあ、たすくはなまはげに対してではなく、娘や自分の現状に魂をぶつけていたのだと思うのですが。
どんな時もヘラついてしまうピエロの面を被っていたたすくは、父が残した鬼の面を被り、やっと出会えた娘へ「泣く子はいねぇが⁉︎」と心の底から叫びます。泣いていたのは彼自身なのに。
何かふつふつと湧き上がってくるものがあり、帰りの車でスピードを出しすぎてしまいそうになった。

プールサイド