「二世代にわたり科学の力で人類の敵と戦うう、これは新型コロナとの闘いへのメッセージか」トゥモロー・ウォー Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
二世代にわたり科学の力で人類の敵と戦うう、これは新型コロナとの闘いへのメッセージか
新型コロナとの戦いの中、人類を滅ぼそうとするエイリアンと科学の力!、これを用いて戦うんだという本映画の基本コンセプトには凄く共感できた。映画完成後、実際に米国・ドイツで開発されたmRNAワクチンが新型コロナとの戦争を一変させた訳で説得力も大。
そして、ロシアの氷河が溶解して、埋もれて凍結していたホワイトスパイクと呼ばれるエイリアンが活性化したというのもリアリティが十分。氷河内の人類未未遭遇ウイルスが表出してパンデミッックを引き起こすリスクは、科学者達により実際提言もされているところ。
生物学教師である主人公クリス・プラットが研究所への就職に失敗したことから始まるのも、科学の素養は十分にあることを自然に示して上手い。知性だけでなく、元軍人で予備兵、肉体的にも鍛えられてることが強制徴兵時に示される展開も上手い。何より、未来に娘イヴォンヌ・ストラホフスキーに会い、生物学への関心はすでに芽生えていたが、大佐で司令官だが、MITで生物工学博士号取得を知り、父親として嬉しく誇りに思う。そして、一緒に戦うストーリー展開は、グッドアイデアと思わされた。
親子二世代に渡る、知性と強さを兼ね備える理想的?人物像を、具体的に見せた俳優二人の動きや話し方もとても良かった。
凶暴さに加えて嫌悪感を感じさせるホワイトスパイクのデザインは素晴らしい。こいつらがうじゃうじゃ走り回リ襲ってくるCG映像も実に自然に見えた。最初の方の、エイリアンに出会うまでの静かな恐怖感も、良かった。エイリアンの情報非開示でなく、事前に敵の急所を学ばせておくべきとは思ったが。
米国映画ではいつもながらだが、最後の戦いに見える敵の強さとしぶとさ、木っ端微塵になるまできっちりとトドメをさす強固な思考に驚かされる。確かに、最後に卵産んだら全てパーだからそれが論理的には正しいのだが、驚く日本人的感性が自分の中にはある。死ね!との叫びは、新型コロナに向けた製作者達の声か。
ホワイトスパイクの雌が毒素を中和する酵素を持っていて、これを阻害する薬剤がいる。この薬剤を結合度でスクリーニングするのは、まあリアリティは有り。あの毒物は、合剤ということか。ずっと実施されているが対新型コロナでもこうしたスクリーング方から強力な新薬が生まれると良いのだが。
ただし、30年後の未来設定は今と何ら変化が無く、違和感を覚えた。ヘリコプターなど武器などの変更は難しいとしても、屋内の様子などデザイン的で良いから未来的なものが欲しかった。ホワイトスパイクに対する防御体制も、機雷に加えて、もう少しキチンとした防御体制は作れるでしょうとも。
とは言え、全体として新型コロナと闘う環境下のエンタテインメント、兼戦略的メッセージとして、十分に楽しむことができた。