「日本人英語は誰の得にもならない」G.I.ジョー 漆黒のスネークアイズ 山田Cさんの映画レビュー(感想・評価)
日本人英語は誰の得にもならない
知名度あるタイトルと思い、予告編から忍者のスパイアクションを期待してしまった。
まず、字幕版を観たのが失敗だったのか?日本語風英語が苦痛の2時間。私はネイティブ英語の学習も兼ねて洋画字幕版を見たが、ずっと日本人英語発音のため見事に苦痛でしかなく、終始没入できなかった。この発音は演出や監督の指示なのだろうか?妙な所に不要なリアリティを残すのはよろしくない。もしかしたら吹き替えが素晴らしいかもしれない。
内容はヤクザ、チャンバラ、忍者、どれもいまいち。
ヤクザが沢山の剣を刺すマジックショーのようなシーンでギャグかと思ったが、そうでもなく、シリアスだが抜け穴の多い展開が続く。
チャンバラは殺陣がゴチャゴチャした画面で強さやカッコ良さが伝わってこないのでとても残念。
忍者の侵入アクションは警備が緩すぎてつまらない。
バイクアクション、試練の穴、燃えるお城と町あたりの美術・CGは楽しめた。
昭和日本路地の看板類はさすがに非機能的すぎてセット感が出過ぎている。
大切な石を再回収する際にチャンバラして大八車の爆弾トリックを使うまでは良いが、直後に銃器も使って解決してしまい、萎えた。ガンアクションでは決してない作品なのに重要な所で使っちゃうのはダメでしょ。使わずに決着させないと。
脚本はスネークアイズに選択肢を呈示した所が関心持てたが、基本的に平坦な一本道。裏切りそうな雲行きになると裏切る。いいのか?
セキュリティ全般が甘い、みんな簡単に裏切る、それでいて簡単にお赦しが出るし、簡単にまた暴走するし、これでは緊張感もカタルシスもないし、場面場面で何か解決しても大きな達成感は感じられず、モヤッとしたものが残り続ける。ラストはそのままダラっと終わり、ネオン管をイメージしたのか派手な日本語付き主要スタッフクレジットは単に見づらいだけ。もっとヤクザに振って終始ネオン街で戦ってたならまだ分かるが、実際ほぼ城と忍者であり、テーマがブレすぎていることの表れではないか?
続編ありそうな示唆を残したが、あっても観ないだろう。