劇場公開日 2020年11月20日

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「新しい世代へ期待する映画」エイブのキッチンストーリー バリカタさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5新しい世代へ期待する映画

2020年11月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

料理モノ?
むむむ、観賞後狂おしいほどにキューバサンドを求め彷徨う羽目になった
「シェフ」のような物語なのか?て勝手にワクワクしてました、、、が!
予想は全くのハズレ、想定していなかった展開でした。

単一民族、宗教色が薄い日本人一族の子供として生を受けた私としては、
日常なかなか味わえない、過去の歴史も含み、異民族・異国民の
アイデンティティにまつわるお話でした。
一人の人間のルーツ、形成されるアイデンティティとは何に由来するもの
なのか?
過去は守るべきモノなのか?
忘れてはいけないモノなのか?
尊重すべき事なのか?
こだわるモノなのか?

本作品はその問いに、優しいタッチで一つの提言を打ち出しているのでは
ないでしょうか?

悲しい歴史を実体験している世代から2代後の12歳のエイブが主人公です。
複雑な一族構成の彼にとっての民族の過去はネットで検索知る事であり
習慣含め好奇心の対象です。エイプは、しなやかです。
こだわりなく、無邪気に好奇心にまかせて行動します。
なんでダメなの?って言えちゃう。
右でも左でもない、白でも黒でもない、タカでもハトでもない、
過去を元に「こうあるべき」と大好きなおじいちゃんおばあちゃんたちに
言われても。

料理が大好きな彼にとっては先人のこだわり、過去のワダカマリも、
複雑な事情も「食材」「調味料」にしかすぎなかったのではないでしょうか?
美味しくするため(美味しい=調和)のマップを描き、全てをバランスよく調理し
美味しい料理を作りたい。

それはまさにエイブの年代の若者たちに期待したい監督のメッセージなので
はないでしょうか?
歪みあわずに尊重しあって新しい味に(世界)を作ろうって。
新しい世代を作っていって欲しいって。

単なる僕の深読みですが、料理と異民族の衝突をうまく融合させたなぁって
感心してます。地味ではありますが良い作品でした。

また劇中、いがみあってた大人達がある事件で自省し協力するシーンが
あります。そして、そこではみんななんやかんや言ってたけど、
同じ食卓でご飯を食べるんですよね。
最終的に大事なのは命。
大事なもののためにはこだわりは意味がない。
人間の根本はこれなんじゃない?ってメッセージもある気がします。

根底は違えど、宗教ちがえど、歴史を遡れば許せないことがあるわけで、
けど、等しく人間は生きてる限り腹がへり、美味ければ満足するし、
自身の命はもちろん、子供、孫の命はすごく大事。
そこを改めて考えてみない?って語りかけてくるような映画でした。

もうちょっと盛り上がり欲しかったかなぁ。
エイブとチコの絡み、もっと欲しかったな。
エイブの成長感をもっと感じたかった。チコの立ち位置であれば
もっと動かしようがあった気がする。
そこだけが残念でした。

バリカタ
バリカタさんのコメント
2020年11月26日

MARさん、ありがとうございます。ほんと、エンドロールに、しっかり味の◯のロゴありました!

バリカタ
MARさんのコメント
2020年11月26日

コメントありがとうございます!
やっぱり海外作品で日本語が聞けると嬉しいですよね(笑)

私も本作は好みでしたが、やはりチコにもうちょっと焦点を当てて欲しかったですね。

MAR