劇場公開日 2020年3月20日

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「Think!」21世紀の資本 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0Think!

2020年7月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 『ブルースブラザーズ』でも使われたアレサ・フランクリンの「Think」。もうこれだけで異様に評価が上がってしまいました。映画の使い方も非常によくて、産業革命当時、奴隷制度、第二次世界大戦、公民権運動など、資本主義が主人公の一つのストーリーとしても成り立っていたように思います。

 現在も貧富の格差が問題とされていますが、これは18世紀のフランスとそっくり。1%の貴族が7割の財産を保有する構図にしろ、何ら変わっていないのだ。皮肉なことに戦争による破壊によって富の再分配が成功して、日本でも一億総中流階級なる言葉があったように格差は縮小していた時期があったことを再認識。

 金持ちか貧乏か。決めるのはただついているかどうか。金持ちは単にラッキーだったからであって、努力の賜物ではないとする論。権力者が言う“トリクルダウン”なんて全て失敗に終わってること。金持ちと権力者は結び付きやすいものだったり、ITで儲けている企業はタックスヘイブンを使って税金を払ってないとか、まるで18世紀における貴族が税金を払ってない状態に戻りつつある現実。どうにかしないと、奴隷制度まで復活してしまいそうな恐ろしさも感じられた。

 全体的には欧米諸国での話が基本であり、累進課税や相続税などはピンとこないかもしれませんが、他はどの国にも当てはまる。また、中国は国家資本主義だと言い放っており、これも目からうろこ。そうか、共産主義じゃないんですね。そんな面白い内容をわかりやすく説明してくれて有難かったです。

 現在は株価ばかりが上昇して、実質経済はマイナスになっていること。「成長してるじゃないですか!」と誰かが印象操作で国民を騙し続け、働いても働いても豊かにならない現状を理解しておかなければ、やがて世界は狂ってしまい、取り残されることになりそうだ。

kossy