「憂う気持ちは同じだった」三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実 Masuzohさんの映画レビュー(感想・評価)
憂う気持ちは同じだった
三島由紀夫も学生運動も
そんなに知ってるわけではありませんでしたが
面白そうだったので鑑賞
感想としては
NHKスペシャルとかで出来ないかな
と言う内容にも感じましたが集中して
スクリーンで見るというのも一考でした
60年安保は可決を阻止できなかったものの
内閣退陣までは追い込めた安保運動は
学生運動にまで発展し60年代末には
反戦運動が大学への要求運動を織り込み
激しい全共闘運動が始まり全国の学校が
暴力革命に荒れた時代
保守派文化人の代表格だった作家三島由紀夫が
東大駒場教室で討論会を行った様子を中心にした
ドキュメンタリー
右翼対左翼という一色触発の様相もありながら
1000人の学生を前に堂々と立ち回る三島由紀夫は
討論というよりか互いの意見を酌み交わしながら
遂には互いの主張にある共通点を確認するに至ります
「アメリカの言いなりになる日本の将来を憂う」という…
自分は80年代生まれで当事者でなく深くは言えませんが
昔大学のゼミの教授が
「学生が思想というものを意識して行動に起こした時代で
その反動で今の大学は学生に考えさせるのをやめた」と
言ってたのを覚えてます
戦後教育から急激に成長し続ける日本に対して
このままでいいのかという不安や憤りも含まれていた
のかもしれません
ただそう言うなら左派だけでなく右派の
三島由紀夫も同じように考えていたわけで
楯の会の発足や自衛隊への体験入隊などを行って
いたわけです
ですから全共闘も三島も互いに共通の日本を憂う観点から
同じように行動に移していたわけで
互いに互いを批判する余地はさほど無かったことが
討論の中で少しずつ判ってきてしまった部分が
印象的でした
討論会は天皇観などにも及びますが
そこへくると三島が学習院時代に天皇陛下から直接
メダルを貰った話などに及び主観論になっちゃっている
あたり三島のチャーミングさを感じました
日本人が宗教観や災害時でも比較的混乱せずに
落ち着いていられるのは
天皇陛下の存在が大きいと思います
そこに日本人としての象徴がある限り
ぶれることのない日本人的感覚皆が
持ててるんじゃないかと思います
そこはどんな権力を持つ政治家でも
侵せない部分だと思います
文化大革命に影響された暴力運動も
起こっては見たものの結局広く国民の支持を
得るには至らず沈静化してしまったのにも
関わっているのかも知れません
三島は暴力に訴える事は否定しない
キ○ガイの騒ぎなら病院に行けば良い
でも君たちはそうではないはずだ
という共感を以て理性的に接する三島の姿勢は
今の時代にも通用する
いや必要なものなのかも知れません
途中解説している当時の全共闘の人達の
回想録も面白かった
なんかアベ批判に終始して笑われてるTwitter芸人や
ナマクラ坊主も混じってましたが討論会の内容が
ちんぷんかんぷんなためなんとか理解を得るのに
助かりました
まあそういう熱い時代があり今は冷めている
のかもしれませんし
また煽ろうと画策している怪しい連中もいますが
ネットで広く見渡せる時代
自分の手の内で収まる自分のあり方を
つかんでいく材料になる作品だったと思います